内容説明
運転手の親子に愛されたことで「心」を持った瀬戸内海の小さな島のボンネットバスと、手にした者に勇気を与える不思議な青いビー玉が、時代を超え、運命に導かれながら旅をしていくファンタジー。旅は、懐かしい昭和40年代の瀬戸内海の島から、大震災に見舞われた山古志村へ…。少年と、バスと、少年の心を持った魅力的な大人たちが、「生きることの美しさ」を優しく語りかけてくれる、事実をもとに描いた奇跡と感動の物語。驚きのラストに、あなたもまちがいなく「幸せのため息」をつくことでしょう。「幻の青春小説」と呼ばれた名作の、待望の文庫版です。
著者等紹介
森沢明夫[モリサワアキオ]
1969年、千葉県生まれ。早大卒。「ラストサムライ片目のチャンピオン武田幸三」で第17回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。小説、ノンフィクション、エッセイと幅広い分野で作品を生み出している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kanegon69@凍結中
230
古いものには魂が宿る、物を大切にする心を思い出させてくれる素敵なストーリー。驚いたのが、この1959年製のボンネットバスに関わる話がほぼ実話/実名という。スクラップ寸前の古いバスを蘇らせる職人、そのバスをこよなく愛する人達、そして新潟県中越地震で大きな被害を負った山古志村の二人の少年の友情を、海のように澄んだ青いビー玉が見事につないでいく。徹底した取材からこんなにも優しさに溢れるストーリーに仕立てる森沢さんの手腕はやはり凄い。きっと森沢さんの心の中に溢れる優しさと面白れぇことを愛する心があるからに違いない2020/03/28
おしゃべりメガネ
229
森沢さんの作品も気がつけば早くも10作目となり、今回はいつもの‘ほっこり’よりは‘ほのぼの‘一色で仕上げています。伊坂さんの車が話す『ガソリン生活』のカントリーバージョン?みたいな作風です。他作品のように、大きく涙腺を揺さぶる感じは少なめですが、それでもやっぱり森沢さんはさすがで、まず何よりも読者を完璧にその世界に釘付けにしてくれます。古いバスをレストアするくだりは本当に職人描写で、読んでいてワクワクします。車同士が話をする場面も、ほんとほのぼのさせてくれます。最初から最後までずっと‘平和’な作品でした。2014/01/26
小梅
202
そうですよね…新潟に大きな震災あったんですよね。付喪神となったボンネットバス。しかし、ボンネットバスを甦らせる技術ってすごいな。ファンタジーなんですが、最後に実際のボンネットバスの写真があって、ファンタジーだったよね?って感じでした。2017/04/06
紫 綺
193
美しい海を閉じ込めたような青いビー玉。人と人、人とモノを繋ぐバトンのように物語を紡いでゆく。ボンネットバス、山古志村、震災…ノンフィクションとフィクションが融合した素晴らしい感動作!!2015/09/19
masa@レビューお休み中
182
森沢さんの物語には、必ずといっていいほど序章があって、序章を読んだだけでは物語の全体がつかめないことが多い。そこが、じれったくてもどかしい。でも、そのじれったさがあるからこそ、心の振れ幅が大きくなるような気がするんですよね。主人公は一台のバスです。昭和生まれのボンネットバスが人と人とをつないでいきます。バスの旅、バスに接する人々の物語、そしてバスと人々をつなぐ物語が重なり合って奇跡と感動と呼び起こします。現代人が忘れてしまっている、モノを大事に使うことの大切さを思い出させてくれるのです。2015/08/04