内容説明
社会人三年目の賢司は変わりばえのしない仕事に燃え尽きぎみ。彼女もいて傍目には悪くない生活に見えたが…。フリーターをしていた高校時代の友人・凌一が仲間達とインディーズブランドを立ち上げることになった。戦略ゼロながら熱く服づくりに励む彼ら。ファッションにまるで興味がないものの、ほとばしるエネルギーに圧倒され、賢司は次第に重要なメンバーとして頼りにされる存在になっていく。一九九八年度三島由紀夫賞を受賞、二〇〇二年に行定勲監督により映画化された作品を全面改稿、大幅加筆。ミシンと糸が紡ぎ出すロックな「青春ワーキング小説」決定版。
著者等紹介
鈴木清剛[スズキセイゴウ]
1970年神奈川県生まれ。文化服装学院卒業。コムデギャルソン勤務を経て、97年「ラジオデイズ」で文藝賞を受賞し、デビュー。98年「ロックンロールミシン」で三島由紀夫賞を受賞。同作品は2002年、行定勲監督により映画化。現在、エスモード・ジャポンでファッションデザインの非常勤講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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京 遊
11
ただ何となく毎日のルーティンに仕事があるだけ、なんて嫌だ!、という声が聞こえてきそうな作品。「まず自分の中に何かしら情報が入って、それが無意識にアウトプットされる。情報があってはじめて、人間は表現できるようになる」-ものづくり、殊にファッションにおいてデザインは "パクりあい" の螺旋の繰返しがトレンドになるが、たとえ青臭くとも「既存するものをまず否定すること」からブランドを立ち上げようとする若者の意気巻きは時代が変わっても不変だ。根拠のない自信を確信にすべく若いうちの苦労は買っておけ、ということだろう。2022/11/18
ぜんこう
10
オリジナルの「ロックンロールミシン」が棚になかったので図書館でこれを借りました。オリジナルを全面改稿、大幅加筆してるとか。 僕は3年目に会社を辞めた賢司を自分と重ね合わせて読んでました。ただ僕にはこの本のようなファッション関係など手伝う友人もいなかったけど。賢司と違ったのは僕は再び会社員にはならず自営で今まで何とかやってること。でも、若い時にこんな夢見て無茶苦茶に仕事するものいいよなぁ。挫折も大きな経験やし。僕には面白かったお話でした。2015/08/09
garashixxx
2
図書館で目にとまる。ミシン熱があがっているからだろうか(苦笑) 個性的な登場人物に興味が涌くが、もう少しそれぞれの深いところが知りたかったかな。いや、必要ないか。人生のどこかにこういう時間があってもいいんだろうな。あるようでないような目標に皆で突き進む感。学生時代ならまだしもそれを生業にするのはなかなか大変なことだ。映画が気になる。 2016/07/17
ANDRE
1
いつか読もうと思ってたら「2009」改訂版が出てました。この人の書く文は視点が変わるタイミングがつかみづらくてちょっと読みづらい。インディーズな若者たちを描いてるんだけど、最後の落とし方も、良くも悪くもインディーズだな、と。なんだかんだで皆、結局は普通にお勤めして「あの頃は若かったからね」とかなってたりしてね。と思ってしまう自分は、もう若くないんだろうなぁ。オリジナルを読んでないから、何が変わったか分からないけど、もしかしたら、書き直さないほうがインディーズっぽさが強調されて良かったのでは、とか思ってみた2009/12/03
tenma
1
実際にミシンが8ビートを刻むのかどうかは不明。▼人生の目標が判らなくなってしまって、そうなると「何のために生きているのか、どんな目標があって働くのか」をもう一度考えたくなって。。。それで、業界大手の会社もやめて。▼実際には、目標なんて簡単には見つからない。場合によっては、見つからないままということもある。でも、一度は、そういう経験をしないと、最後に歪がくる。でも、良いことばかり続かない代わりに、悪いことも続かない。2009/05/15
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