出版社内容情報
そのノーベル賞作家は高齢で、体が麻痺して施設にいた。息子は、親の威光で講演と浮気三昧。だが、家政婦の死をきっかけに、過去が掘り起こされていく。高潔な作風で尊敬を集める作家が抱える忌まわしい心の闇が…。
内容説明
ノーベル賞作家である父アクセル・ラグナーフェルトは、脳疾患で全身麻痺となり施設に入っている。息子ヤン=エリックはその威光で尊敬を集めて生活しているが、家庭は崩壊し浮気三昧の日々だった。物語は、高齢で死んだ老女の身元確認から始まる。彼女はかつてラグナーフェルト家で家政婦をしていた。葬儀のために探し物をすることになったヤン=エリックは、事故死と聞かされてきた妹の死因に不審を抱く。やがて彼は、高潔なはずの父が何かをひた隠しにしていることを知る…。人は、ここまで堕ちることができるのか―生きることの絶望と希望に迫る問題作。
著者等紹介
アルヴテーゲン,カーリン[アルヴテーゲン,カーリン][Alvtegen,Karin]
1965年スウェーデン生まれ。脚本家を経て作家に。98年『罪』でデビュー。2000年『喪失』で北欧ミステリ“ガラスの鍵”賞を受賞
柳沢由実子[ヤナギサワユミコ]
上智大学文学部英文科卒業後、ストックホルム大学スウェーデン語科修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
24
みごとにセレブ一家が下種ばっかりだった。大叔母がリンドグレーンだとか。よくこんな話おもいつくな。2022/01/10
himehikage
16
最も崇められる存在であるノーベル賞受賞作家には実は忌まわしい過去があり、それが次の世代にも連鎖してとんでもなく罪深いことになっていくというスウェーデン作家だから書けたといえる小説。それぞれの苦悩が描かれる群像劇風で、対して遺産管財人の女性だけが一連の悲劇とは無縁で息をつかせてくれる。この作家さん、読むのは2作目。他もまた思い出したら読む2023/07/09
まるあんこ
5
最後まで暗くて救いのない話。 読んでいて楽しくないのに 読んでしまう。これって何?! 2020/03/17
小物M2
4
これは凄い小説だ…。栄光の裏に広がる暗い影。それを照らした先に待っていたのは深い奈落。救いはどこにもない。残ったのは暗闇だけだ。最後まで読むとしっかりミステリとしても浮かび上がる。傑作。2021/06/22
ルナティック
4
女性の描写は優れていると思うのが、男性になると、それ程~って思えたのが残念。確かに悲惨に悲惨、さらに悲惨なお話だが、その目の前の悲惨さにどう向かうのか、が問われているようであった。しかし「そこまで」して、一体何も守りたかったのだろうか?別の感覚で例えるなら、子供のような登場人物が多数。息子の妻が去るのは、ひとつの救い。そして妻の最後の叫びは・・・今更って気もするが、傍観者的ではなく、夫と共に、最も責められるべき存在では無いだろうか。多くが自分が被害者状態。あぁ、面白かったですよ。ウンウン2015/12/01