内容説明
文壇屈指の小説巧者と呼ばれるひとりの作家のまなざしが、競輪という“賭け”に向けられたとき、そこにはまぎれもない“もうひとつの顔”が浮かび上がってくる―。作家・佐藤正午が、競輪との折り合いの道を長い時間をかけて模索しつづけた全記録。単行本未収録の「しみじみ賭ける」、書き下ろし「あとがき」も収めた珠玉のエッセイ集。
目次
第1章 たぶん。少なくとも。朝のあいだは。(ふと耳に入ってくる声;自分の小説のなかに埋めこんで ほか)
第2章 あした世界の終わりが来ても(ロイ・マカヴォイの賭け;堅実派 ほか)
第3章 最終ホーム、九番手(学生食堂のテレビで見た男;かくして神話は生まれる ほか)
第4章 「孤独」という言葉を噛みしめながら(凍りついた笑い;裏目 ほか)
第5章 しみじみ賭ける
著者等紹介
佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年長崎県生まれ。83年、『永遠の1/2』ですばる文学賞を受賞。2000年刊行の『ジャンプ』は「本の雑誌」ベスト1に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奏市
12
佐藤正午さんの全て競輪に関するエッセイ集。競輪全く興味ないが、笑えたり、胸に迫るものあったり、プロットの美しさに感嘆したり、大変面白かった。佐藤さんの小説そのもの。ショートショートの逸品と思えるものも複数有り。今は興味ないが、子供の頃夕方テレビで見るものなく競輪見てたなぁ。吉岡選手、神山選手、懐かしい。佐世保競輪場、仕事で事務所に行ったことはあるが、中(観覧席)には入ったことがない。屋台のおばちゃんの話が良かった。子供の頃、酔っぱらった親父に屋台連れてってもらったなぁ。度胸ないから今後も車券は買わないな。2020/01/19
momo
10
競輪についての知識もなければ、賭けをすることの全くない生活を送っているのに、競輪について書かれた本書を熟読しました。佐藤正午のエッセイにはどこかに創作が含まれていて半信半疑の心持で読むのですが、本書からは著者の素顔のようなものが感じられて面白く読みました。競輪に対する熱い思いと車券を買う前の冷静な分析が随所に表現されていて、佐藤正午の考え方に触れたような気がしました。競輪場に行かないまでも、テレビで放送されていたら見たいと思います。佐藤正午の文章から感じた空間を実際に見てみたいという気持ちになりました。2017/12/28
ソラ
8
【読メ登録以前読了作品】 内容(「BOOK」データベースより) 文壇屈指の小説巧者と呼ばれるひとりの作家のまなざしが、競輪という“賭け”に向けられたとき、そこにはまぎれもない“もうひとつの顔”が浮かび上がってくる―。作家・佐藤正午が、競輪との折り合いの道を長い時間をかけて模索しつづけた全記録。単行本未収録の「しみじみ賭ける」、書き下ろし「あとがき」も収めた珠玉のエッセイ集。 2008/07/29
まこみや
6
全編これ競輪についてのエッセイというか随想なので、ギャンブルに不案内の自分はこれまで敬遠して読んでいなかった。正午さんは、競輪に臨む姿勢は自ら言うように「堅実派」らしいが、車券の買い方は“ヨミ”に徹した勝負師と見た。彼にとって競輪とは、自らの知恵と記憶と勘による、リスクを負った決断(推理)のゲームなのである。2020/05/13
ponnnakano
5
正午さん、ものすごく真面目にエッセイに取り組んだという感じ。ほとんど冗談も混じえずに。意外です。競輪好きに向けて書くときは、やはり普段とは少し違うんだなと、そこが興味深かった。本筋と違っててすみません。僕自身は、「まえがき」での著者の希望に近く、この本によっては競輪にもギャンブルにもあまり興味はわかなかったが、面白く読み終えられた。それが少し嬉しい。2019/05/10
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