内容説明
江戸中期の将棋五世名人伊藤宗印は、いかにして将棋三家を守り抜こうとしたか―。養子ゆえに、大橋本家からの不当なあつかいに甘んじ、昇段を許されなかった青年時代。やがて、遅咲きの花を咲かせ、伊藤家を継いで実力者多出の家系を作り上げる。本書は、当時の棋譜をまじえて波乱の生涯を描く異色の実在時代小説である。現代の棋士たちも驚嘆するという実力者が輩出した江戸期の隆盛を築いた宗印の実像と、将棋に賭ける男たちの矜恃―将棋好きならずとも、その生き様と美学に心打たれる。
著者等紹介
湯川博士[ユカワヒロシ]
1945年2月生まれ。法政大学卒業後、出版社勤務。『将棋ジャーナル』編集長を経て、84年から文筆業。将棋ペンクラブ代表幹事などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ほにょこ
3
★★★☆☆ 頑張って調べて書いたんだろうなと思わされるほど作者の存在が感じられます。 棋譜もちょくちょく載っています。 前半はまあまあ面白かったですが、後半は主人公以外の話が長くて微妙でした。 2018/11/25
ゆーいちろー
0
作者はもともと物語作家ではないので、小説としては生硬な印象を受ける。わたしのように多少マニアックな嗜好で将棋を楽しむ人間には、家元制であった頃の将棋名人の生活というものが垣間見られて面白い。本書には、いくつかの対局譜が載っている。駒落ち将棋が多いせいもあるだろうが、いわゆる現代将棋に印象が似ていて驚いた。将棋の考え方にも、大きな輪廻の如き循環があるのだろうか。2010/06/10