出版社内容情報
遺された謎が解けたとき、涙があふれだす
巣鴨の路地裏にたたずむ、遺影専門の写真館《雨利写真館》。先月急逝した祖母が撮影されたときの話を聞くために、黒子ハナは写真館を訪れる。奇妙な遺言状を作っていた祖母の真意を知るための、手がかりを求めてのことだった。カメラマンの雨利や経理の夢子の協力で、ハナは祖母の最期の望みに気づく――。
写真館で働き始めたハナはその後、心にわだかまりを抱えた人たちと出合う。不審な転落事故や、意味不明なメモの残る妊婦の写真。様々な謎と向き合いながら、ハナも自分の人生を見つめ直す。日本推理作家協会賞受賞の名手が紡ぐ、希望と再生のミステリ。
【編集担当からのおすすめ情報】
『夜の道標』で日本推理作家協会賞を受賞し、各種ミステリランキングの常連でもある注目作家・芦沢央さんの心あたたまるミステリです。写真館を訪れた人たちとともに謎に向き合えば、真相にあっと驚き、じんわり目頭が熱くなること間違いありません。再生のミステリをぜひお楽しみください。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
30
舞台は遺影専門の写真館「雨利写真館」。その時のために遺影を撮影しておくって大切。急に亡くなった祖母の撮影の時の話を聞いて遺言状の真意を探ろうとする、黒子ハナ。カメラマンなどの話を聞いて遺書の本当の意味にたどり着く所がよかった。続きがあるなら持っと読みたい。2025/07/08
akiᵕ̈
26
遺影専門の《雨利写真館》を巡る、家族の絆を描く連作短編。黒子ハナのクイズ好きの祖母が亡くなり、長女であるハナの母親にだけ遺産を残していない!?という所から、ここの写真館を訪ね、その真相の意味を見つける所から始まる今作。ほのかなミステリを含み、家族を思うが故のすれ違いに気づき、モヤモヤしていた心に光が差していく。ハナも関わっていく中で、父親との事でわだかまっていた心と向き合い自分なりの整理がつく。終活の1つとして遺影を選んで置くことも大切だし、こうして故人となる人との思い出を噛みしめる時間にも尊さを感じる。2025/07/11
よしかず
1
終活に際して遺影を前撮り。確かにそれは重要だ。慌てて遺影を用意するも写真がないって事になり得るからだ。雨利写真館なのに雨利はさほど活躍しない。人生に色々失敗してるハナが主人公だ。さっくり読める。黒後家蜘蛛を読んだ後なので1ページの行数も字数も少なくて衝撃受けたΣ(-∀-;)2025/07/07