小学館文庫<br> きみはだれかのどうでもいい人

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小学館文庫
きみはだれかのどうでもいい人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094070606
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

人とわかりあうことは、こんなにも難しい。

税金を滞納する「お客様」に支払いを促すことを仕事とする県税事務所の納税担当に、同期が休職したことで急遽異動させられてきた若手職員の中沢環。彼女は空気の読めないアルバイト・須藤深雪を始めとする周囲の人間関係に気を遣いながら、かつての出世コースに戻るべく細心の注意を払って働いている――(第1章「キキララは二十歳まで」)
週に一度の娘との電話を心の支えに、毎日の業務や人間関係を適当に乗り切るベテランパートの田邊陽子。要領の悪い新米アルバイトや娘と同世代の若い正規職員たちのことも、一歩引いて冷めた目で見ていたはずだったが――(第3章「きみはだれかのどうでもいい人」)
業界中から絶賛の声、殺到!ブクログ第1位、啓文堂書店大賞第2位、「ダ・ヴィンチ」の「今月の絶対にはずさない!プラチナ本」にも輝いた超話題作がついに文庫化。
同じ職場に勤める、年齢も立場も異なる女性たち。見ている景色は同じようで、まったく違っている――。職場で傷ついたことのある人、人を傷つけてしまったことのある人、節操のない社会で働くすべての人へ。迫真の新感覚同僚小説!
解説は、単行本時から絶賛の言葉を寄せてくださっていた島本理生さんです。


【編集担当からのおすすめ情報】
単行本時、大きな反響をいただいた今作。まずタイトルが心を鷲掴みにして放しません。読み終えた後で2度読みしたくなるミステリ的な仕掛けや、普段、仕事をしながら私たちが感じている言葉にならない思いを、見事なまでに丁寧に、繊細に言語化した今作は、まさに著者渾身の傑作です!この文庫化を機に、これまで以上に多くの方が今作を手に取り、感じた「モヤモヤ」をSNSや読書仲間と共有してくださることを心より願っています。

内容説明

地方の県税事務所に勤める、年齢も立場も異なる4人の女性たち。同期の休職で急遽異動させられかつての出世コースに戻ろうと細心の注意を払う若手職員の中沢環(第1章・「キキララは二十歳まで」)、週に一度の娘との電話を心の支えに業務を適当に乗り切るベテランパートの田邊陽子(第3章・「きみはだれかのどうでもいい人」)など、それぞれの見ている景色は同じようで、まったく違っていて―。職場で傷つき、傷つけたことのあるすべての人に贈る、共感度MAXの新感覚同僚小説!解説は、単行本時より絶賛の言葉を寄せてくださっていた島本理生さんです。

著者等紹介

伊藤朱里[イトウアカリ]
1986年生まれ、静岡県出身。2015年、「変わらざる喜び」で第31回太宰治賞を受賞。同作を改題した『名前も呼べない』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

そる

210
私は仕事はできない方だと思う。経験年数の自負で自分を保ってるけど、この小説の、できない人の立場はわかるし、できる人がこういう風に考えているのかと勉強になる。自分だけがうまくいかないかわいそうな人、ってずるい。こっちにも傷つくこと辛いこと、あるのに。人の粗探しして毒吐いてないと今日を乗り切れない。そうかそういうことを考えているんだね。みんな強くない。「「自分だけが我慢すればいいなんて、簡単な話じゃないですよ。そうやって我慢する人がいるから、そこにつけ入る人や八つ当たりする人もいなくならないんです。(略)」」2024/07/15

あきら

174
読み進めるのがものすごくしんどい話でした。 悪意は連鎖して伝染しているからこそ、自分の未熟ゆえ、となんとか自身を肯定できる。 けど、それがとどまると、それはいつまでも自分を苦しめる。その体験を感じてしんどくなったんだと、読み終えて思った。 考えさせられる小説でした。2022/01/28

のり

169
税務署で働く4人の女性達からの視点で一人のパート職員との関わりを描く。心身共にタフさを求められる職場。ストレスも多大にあるだろう。しかし、同僚に、しかも同一人物にはけ口を向けるのは如何なものか。女性陣の輪から外れた者は集中砲火にあう。それと公務員に対する税金泥棒や、自分達の税金で食べてるクセにという傲慢な発言には嫌悪感が湧く。逆に誰のお陰で手続き等が成り立っていると思っているのか。仕事全般の対価としては当たり前のはずなのに。あまりにも狭い世界は怖い。2022/10/24

きいたん

153
私達はわかって欲しいと願う。大切な人に。どうでもいい人に。自分の頑張りを。苦しみを。愛を。祈りを。だが人の心の中を見る事はできない。わかってもらえないし、わかってあげられない。その葛藤、不安、不満、悲しみは、出口を求めて彷徨い続け、自分の望まない場所から突如として漏れ出し、人を傷つけ、それが更に自分を傷つける。それでも私達は1人では生きられない。自分の事を、他人の事を、その都度考えながら、自分の結論を出して生きていくしかない。例えお互いがお互いのどうでもいい人だとしても。その覚悟を心に刻ませる物語だった。2021/10/17

Kazuko Ohta

139
原田マハの『あなたは、誰かの大切な人』の真逆を行くタイトル。凹みますねぇ。だけどそんなもんでしょう。職場でどれだけ「あなたがいないと困る」と言われている人であったとしても、辞めたところで仕事は普通に回る。県税事務所に勤める4人の女性の視点から描かれたこの連作短編集は「あるある」だらけ。ひとつ言えるのは、どんな人にも必ず悩みはあるということ。いかに能天気に見えようが、物事に動じないように見えていようが、生きていれば悩む。あと、映画や本での総務係の扱われ方がいつも不思議。総て務める、なくてはならない係なのに。2022/01/16

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