小学館文庫
今読みたい太宰治私小説集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 368p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094070262
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「今」の感性で読む、体温を感じる私小説集

両親にも祖母にも心を開かず、兄たちからはいじめられ、つねに劣等感や不安に苛まれていた津軽での幼・少年期を書き、文壇デビュー作となった「思い出」。実家を離れていた太宰の十年ぶりの帰郷で感じた故郷への、家族への思いを綴った「帰去来」。母危篤の報を受け、妻子を連れての帰郷を描いた「故郷」。太平洋戦争下の時局差し迫る中、出版社からの依頼で旅した津軽での3週間をまとめた「津軽」。そして、「富嶽百景」は、退廃的な生活を送っていた太宰が、富士山の麓の宿に滞在し、小説家として再生するまでの日々を描いた作品。激しい女性関係で有名な太宰の、ただ一人の「妻」となった石原美和子との結婚までの日々も赤裸々に綴られています。
私小説と言われるこの5つの話で、太宰は、社会での生きにくさと自分の弱さをありのままに綴りながら、人間らしく生きるとは何かを模索し続けています。それは、思うようにならない「今」という社会を生きる私たちにとって一筋の希望の光になるのではないでしょうか。
巻末には、スーパー中学生作家としてデビューし、活躍を続ける現役高校生作家鈴木るりか氏の特別寄稿を掲載。瑞々しい感性で読み解いた解説文も必読です。


【編集担当からのおすすめ情報】
「命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。」解説文でも取り上げられたこの一文には、タイトル「今読みたい」に込めた思いが凝縮されています。太宰の若き日の心情と生き様は、「今」こそ若者の共感を得るのではないでしょうか。
今回は太宰治のファンに限らず今まで歴史上の人物と思っている若い世代の方々にも読んでいただきたいと思い、編集しました。現役高校生作家鈴木るりかさんがその魅力をよりわかりやすく伝えてくれます。

内容説明

劣等感や不安に苛まれていた津軽での幼・少年期を描き、文壇デビュー作となった『思い出』。富士山の麓の宿に滞在し、小説家としての再生と自身の結婚を綴った『富嶽百景』。十年ぶりの帰郷で感じた故郷への思いを紡いだ『帰去来』。母危篤の報を受け妻子を連れての帰省を描く『故郷』。そして、太平洋戦争下の時局差し迫る中、仕事で旅した故郷・津軽での3週間をまとめた『津軽』。著者の体温を感じるほど人間らしい五話を収録しました。中学生作家としてデビュー、活躍を続ける現役高校生作家鈴木るりか氏の瑞々しい解説文も必読。「今」の感性で読みたい、昭和の名作私小説集です。

著者等紹介

太宰治[ダザイオサム]
1909年青森県北津軽郡の旧家に生まれる。本名は津島修治。東京大学仏文科中退。1935年「逆行」が第一回芥川賞の次席となり、翌年、最初の創作集『晩年』を刊行。その後も多くの作品を発表したが、1948年三十八歳で没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

37
今の感性が読み取れる短編ばかりでした。それは太宰の思い出が描かれているからでしょう。2024/01/07

18
思い出に富嶽百景に帰去来に故郷に津軽。太宰はクソクソ言ってるわりに、全部読んだことあるやつだったんだけど(津軽が一番素直で、こねくりまわしてなくて好き)、解説の鈴木るりかさんの太宰が世を去った後の「たけの悲しみと喪失感はいかばかりか」という文を読んで、そんなこと考えたこともなかったから、そうだよなあ…となってこっちまで哀しくなってしまった。太宰のたけへの思いは「坊ちゃん」の清を思い出すんだけど、あっちは逆縁じゃないもんなあ…。2021/07/17

たつや

6
新たに編まれた太宰治の短編集。巻末の鈴木るりかさんの「桜桃忌が来る」も良かったです。太宰愛がこもってました。2024/12/03

mob

4
・虚飾を強いられる時代にあって、太宰は癒し。 ・同時代の異性のストイックさを前提とした、無防備で柔らかな感受性。その背景を無視し都合のよい果実だけに目をぎらつかせて文豪を見直す世情を見たら、太宰などまた入水してしまうかも。 ・この時代で女中に育てられ、別の女中に淡い初恋。思い出が色褪せない構造は、感受性が萎びてしまわない恵まれた構造と考えたい。2021/08/11

Ryoko

1
太宰治の小説は読んだことない、か読み始めたけど途中挫折したかで読んだ記憶がない。太宰治の小説よりもその人生に興味があった。何度も自殺未遂を繰り返し、最期は心中を遂げた、その太宰治の私小説。主に生家のこと、親や兄弟との関係、母の代わりに世話をしてくれた叔母のことが書かれている。親や兄弟との関係が良好ではないことが自殺未遂を繰り返すことに繋がったのか。解説にあったが太宰治のこの一冊と言われる「津軽」。解説通りラストが良い。たけとの関係だけを書いた小説、書いてほしかったな。

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