小学館文庫
自我の構図

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  • サイズ 文庫判/ページ数 297p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094062847
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

人は人を真に愛することができるのか――。

高校教師の南慎一郎は、妻子がありながら、同僚である藤島の妻・美枝子に心惹かれている。美術教師の藤島から手ほどきを受け、美枝子をモデルに描いた絵が日展初出品にもかかわらず協会賞を受賞。同時に美枝子を描いていた藤島の絵は落選となっていた。それから一年、一緒に出かけた峡谷で藤島が謎の死を遂げる。不慮の事故か、他殺が、自殺か。その死に関して嫌疑をかけられる慎一郎。やがて、美枝子、慎一郎の妻・由紀、姪の雅子らを含めたそれぞれの人生が絡み合い、思わぬ方向へと動き出していく。
藤島はなぜ死ななければならなかったのか。果たして、人は人を真に愛することができるのか。嫉妬、疑念、罪、欲、エゴイズム。良識を持って誠実に生きているような者の内にも巣くう不条理さや身勝手さ。人間の本質を鋭く浮かび上がらせた問題作。

【編集担当からのおすすめ情報】
解説は、酒井順子さんです。

内容説明

高校教師の南慎一郎は、妻子がありながら同僚である藤島の妻美枝子に心惹かれている。美術教師の藤島から手ほどきを受け、美枝子をモデルに描いた絵が日展初出品で入選。同時に美枝子を描いて出品した藤島は落選していた。一年後、共に訪れた峡谷で藤島が謎の死を遂げる。不慮の事故か、他殺か、自殺か。嫌疑をかけられる慎一郎。やがて、美枝子や慎一郎の妻由紀らの人生が絡み合い、思わぬ方向へと動き出していく。果して人は人を真に愛することができるのか。嫉妬、疑念、欲、エゴイズム。人間の本質を鋭く浮かび上がらせた問題作。

著者等紹介

三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922‐99年。北海道旭川市生まれ。十七歳から七年間、小学校教師として軍国教育に献身し、戦後退職。その後、十三年間の療養生活中に洗礼を受け、59年に三浦光世と結婚。64年、朝日新聞の懸賞小説に『氷点』で入選して作家活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

83
愛、嫉妬、疑い、欲望、エゴイズムといった感情が渦に巻かれるように悪い方向へ転がっていく印象を受けました。ドロドロとした世界観は三浦綾子文学の真骨頂ともいえるでしょう。生死というテーマを通じ、人間の本質を浮かび上がらせた作品。問題作と言っても過言ではありませんね。2017/12/13

やせあずき

54
定期的に三浦綾子の世界に入り込んでしまう私は、もはや中毒症状なのかも。生死、愛憎、醜い欲望などの渦にのみこまれながら、事態は悪い方向へ転がっていきます。「塩狩峠」や「氷点」までではないにしろ、意図せぬ運命に翻弄されるところは、三浦作品の真骨頂です。相手のことを信用できず、自分の中で沸々と思いを巡らせ、悩んだ挙句とった行動が裏目にでてしまう、この繰り返し。その時に相手の気持ちをハッキリ確認してください…という助言を主人公たちにお伝えできたら、彼らも読者の私もどれだけ楽になれるだろう、と思ってしまいます。2016/10/31

たぬ

31
☆4.5 2年9か月ぶりに読む三浦綾子。グレートでした。これダントツで胸糞なのは美枝子の姑松江だけど慎一郎も相当なものだな~。同僚の美しい妻と惹かれあってしまうのは百歩譲って仕方がないとしても、こんなかわいい奥さんと小さい息子を捨てようとしてる。まあでもこれだけイレギュラーな事案が一気に押し寄せたら冷静な判断は難しいのかもな…。2021/12/06

ましゅう

20
『氷点』をきっかけに学生の頃に多読した三浦綾子さん。懐かしく、やはり面白い。自我を置いて真に愛することはできるのか。嫉妬、欲、利己心、執着…。三浦さんの作品を読むと、人間である以上自分の中にも少なからずそういう気持ちが潜んでるのだろうと思わされる。問題はそれをどんな形で発露するかだと思う。『人間のよさというものなどは、いったん事があると、たちまち崩れて醜く変わるものだと、恐ろしい気がした。』男の自分が読んでも慎一郎の身勝手さが気になったから、女性からしたらエゴ以外の何物でもないと一刀両断されそうです^^;2016/04/13

ねこまんま

17
ひたすら自己中でめんどくさい男たちと、何故かそんな男に惚れちゃってる女たちのどろどろ劇。自分の気持ちに正直になることと自己中は見方の違いだけで本質は一緒なので、決して他人事ではありません。間違っているとか、後で後悔するかもと思ってもとどまれないのが人間の弱さ。雅子が一番誠実なのに誤解されたままだと言う理不尽さが辛い。2020/01/05

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