小学館文庫
ステーション・イレブン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 493p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094060263
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

文明崩壊後の世界を描く傑作SFサスペンス

新型インフルエンザ「グルジア風邪」の流行により、人類の99%が死滅し地球の文明が崩壊した。パンデミックの幕開けは、カナダ・トロントの劇場で上演されていた『リア王』の主演俳優アーサーの死で始まる。同じ舞台に立っていた8歳の子役キルステンは、彼の死を目の当たりにする。
そしてその20年後。電気もなく廃墟も残るなか、生き残った人々はわずかな食料や資源を繋いで生活していた。そしてキルステンは旅の楽団に入り、ミシガン湖周辺を移動していた。20年前、死の前にアーサーがくれた『ドクター・イレブン』というSF漫画を大切に持ち続けながら。
ある日、旅の楽団がセントデボラという町で『真夏の夜の夢』を上演していると、観客の中から不気味な「預言者」が現れる……。
アーサーの死までの人生と、文明崩壊後20年目の世界のキルステンの日々が交錯するなか、さまざまな人間模様と『ドクター・イレブン』をめぐる謎が解き明かされる、傑作SFサスペンス。全米図書賞最終候補作。

エミリー・セントジョン・マンデル[エミリーセントジョンマンデル]
著・文・その他

満園 真木[ミツゾノ マキ]
翻訳

内容説明

カナダ・トロントの劇場。『リア王』上演中、主演俳優のアーサーが急死する。このとき新型インフルエンザの爆発的流行が世界を覆い始めていた。二週間後、人類の九十九%が死滅し、文明が崩壊する。二十年後、女優キルステンはシェイクスピア劇を上演する旅廻りの一座にいた。アーサーの劇に出ていた幼い日、彼から渡された漫画本“ドクター・イレブン”を手放さず。パンデミックの恐怖に曝された現代人は、人類滅亡の危機を前に果たして生き延びることができるのか…。静謐な筆致で綴る黙示録後の世界。著者は四作目の本作で全米図書賞のファイナリストに。

著者等紹介

マンデル,エミリー・セントジョン[マンデル,エミリーセントジョン] [Mandel,Emily St.John]
1979年カナダ・ブリティッシュコロンビア生まれ。現在はニューヨーク在住。2009年に「Last Night in Montreal」で作家デビュー。第二作「The Singer’s Gun」で仏ミステリ批評家賞(翻訳作品部門)を受賞。第四作『ステーション・イレブン』は2014年全米図書賞(フィクション部門)の最終候補作に選ばれた

満園真木[ミツゾノマキ]
東京都生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんやん

32
トロントの劇場で役者が芝居中に亡くなる。その直後、パンデミックにより人類のほとんどが滅亡する。この冒頭の舞台の描写の美しさ。文明崩壊後20年、ばらばらだった役者の関係者たちが、それと知らずに引き寄せられてゆく群像劇。時間を前後させながら、20年の間に起こった出来事が語られてゆき、謎めいたタイトルの由来も明かされる。文明崩壊ゾンビものからゾンビを引いたような、文明への郷愁に満ちた静謐な(とは言え、アクションはあります)ドラマ。マンションに閉じ籠ったり、空港に取り残されたり、それぞれのサバイバルを堪能した。2021/11/13

ヘラジカ

30
私が終末小説に求めるものは二つ。失われる文明と社会秩序への絶望や哀愁が描かれていること。その中で変わりゆく人間の理性や価値観に焦点が当てられていることである。ともすれば単純にSFジャンルと分類されがちな黙示文学は、決してバカ騒ぎするエンターテイメントに堕してはならない、というのが私のスタンスだ。その点でこの作品は完璧としか言いようがない。流れるような文明崩壊の描写を愛憎劇と共に織り上げるという複雑な構成が、王道の中に独自性を生み出している。語りたい物語のために選ばれた舞台。決して逆であってはならないのだ。2015/09/19

すけきよ

17
普通、崩壊後の世界の方がフィクションとしては面白くなりそうだけど、この作品では、パンデミック前後でもなく、俳優の華々しくも、虚ろな人生に紙幅が費やされている。一方、20年後の世界も暴力的に描けるはずだけど、こちらも至って淡々と、穏やかな空気は流れる。それでも生きる人々、わずかな平和と人間性を保とうとする努力が、この作品のキモ。無関係に見える二つの世界をつなぐのが、謎のコミック『ステーション・イレブン』。バラバラに見える3つの物語が徐々に収束し、最後に待っているのはわずかながらも、しかし確固たる希望。2015/03/17

けいちゃっぷ

14
カナダのトロントの劇場で『リア王』を上演中に、主演俳優のアーサー・リアンダーが急死。 それを待っていたかのように新型インフルエンザが猛威を振い、わずか2週間で人類の99パーセントが死亡。 文明崩壊後の世界で原発がどうなるのか気になるところですが、作者は「今の世界へのラブレターを書きたかった」ようで、抑え目な筆致で生前のリアンダーに関わった人たちを中心に黙示録後が描かれます。 どちらかというと文芸寄りのSFですね。 493ページ 2017/03/22

おおた

13
パンデミックものといえばサラマーゴ『白の闇』が筆頭に来てしまい、今回もそれが覆ることはなかった。人類無抵抗すぎ、というのが先に立ってしまい、オバマは何をしておるのじゃという歯がゆさを感じた。とはいえ、あるコミックを軸に人々がなるべく秩序を維持しようとする姿は好感が持てるし、人類は本書のように穏やかな道に進んで欲しいと思う。『ザ・ロード』『極北』に比べると困窮がそれほど語られないゆえのリアリズムの欠如を感じるのは、貧しさの中に物語を求める登場人物を描くから仕方ないのかな? 語り口は斬新だと思うのだけど。2015/06/01

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