出版社内容情報
モンゴル軍の襲来は、鎌倉幕府内部の権力争いを引き起こし、天皇とその周辺も幕府打倒に動きはじめた。そのとき北条時宗は?
二度にわたるモンゴル軍の襲来は、鎌倉幕府にとっても、御家人・民衆にとってもこれまでにない試練だった。幕府内部の権力争いは激化し、天皇とその周辺も幕府打倒へと動いた。農村・漁村・都市の分化など、社会も大きく動いていた。古代から中世にかけて、「遍歴する非農業民」の存在を重視する著者が、新視点で切り込んだ新しい中世像。
内容説明
二度にわたるモンゴル軍の来襲は、鎌倉幕府にとっても、御家人・民衆にとってもこれまでにない試練だった。幕府内部の権力争いは激化し、天皇とその周辺も幕府打倒へと動いた。農村・漁村・都市の分化など、社会も大きく動いていた。古代から中世にかけて、「遍歴する非農業民」の存在を重視する著者が、新視点で切りこんだ新しい中世像。
目次
飛礫・博奕・道祖神―はじめに
「撫民」と専制
二つの世界、二つの政治
「蒼い狼」の子孫
文永の役
建治元年―日本
弘安の役
弘安の「徳政」と安達泰盛
百姓と「職人」
訴人雲霞のごとし
転換する社会
鎌倉幕府の倒壊
13世紀後半の日本
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
36
この満腹感は何なのか。網野史観で有名な著者の初期の著書。よくある日本史全集(小学館版)の鎌倉時代を担当した1冊として(恐らく)ひっそりと世に出た。そう通史だ。なのにこのテンション。鎌倉時代を「日本人の野性が社会に横溢している最後の時代」と捉える大胆な史観と、裁判記録や紙背文書(廃棄された文書の裏に著名人が書いたため残されたもの)なども含めた史料による具体的細部の両面から、武士(北条氏)/天皇の政治抗争、寺社/仏教の宗派対立、農民/社会の人々の生活が活写される。↓2014/06/30
叛逆のくりぃむ
18
蒙古襲來を軸に當時の社會情勢などを廣汎に考察してゐる。元冦を切掛として北條得宗家の獨裁體制が一定の完成を見た點は興味深い。2015/11/14
i-miya
8
★網野善彦『蒙古襲来』 蒙古襲来―転換する社会 (小学館文庫) 2005.01.06 P33 道祖神(さえのかみ) 直会(なおらい)-酒をなめ米粒をかむ P41 1252 建長4 0319 宗尊親王将軍誕生 1253 建長5 11月建長寺建立 蘭渓道隆 宋の禅僧呼ぶ P56 篝屋の廃止 P58 税所(さいしょ) P61 院の評定の新設(本所同志の争い調停)引付(御家人、訴訟専門裁判) 後嵯峨院政 上級貴族 中級廷臣 P64 西園寺家 興隆 徳大寺家 徒然草 2005/01/22
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
7
読み物としてこんなに面白い歴史書を描くのは網野善彦しかいないだろうな、としみじみ思う一冊。13世紀の日本社会を、網野史観と呼ばれる独自の史観で、列島始まって以来の大転換期として描く言わずとしれた網野善彦の代表作。「悪」(悪党)とは何か、という問題を、「自由」と「抑圧」のせめぎ合いの問題として、「未開」と「文明」、「有縁」と「無縁」、「農業社会」と「非農業民」という独自の視点で見事に描いた。本書の主人公の一人である日蓮(不屈の思想家)と極楽寺良観(偽善者)の対立も、網野善彦に描かせるとリアリティが凄い。2020/01/04
midorikawa-e
6
タイトルは「蒙古襲来」でして、たしかにそこが、この通史のポイントになってます。しかし、それに至る過程、中世日本社会全般に目配りの利いた活写が素晴らしいと思いました。歴史は、いつだって躍動感を持って動いている。そう思わせる名著ではないでしょうか。2015/06/03