出版社内容情報
勉学か革命か──悩める若き革命家の青春日記、全文掲載。
勉学か革命か──悩める帝都の青春日記。80年ぶりに発掘された19歳の周恩来による東京滞在日記(1918、大正七年)を全文収録。浅草オペラ、上野美術館、銀座大型百貨店、神田書店街、両国の相撲、そして次第にエスカレートする留学生運動と受験失敗……。若き周恩来は果たして東京で何を見て、何を経験したのか? その後の日中友好関係を築く原点ともいうべき一年間を、充実した解説コラム、詳細年表、写真、地図付きで活写する。
内容説明
革命か、勉学か。悩める若き周恩来の東京留学日記が新たに公開され、このたび、その全文を本邦初訳する。東京の周青年は、けっきょく受験に失敗して失意のうちに帰国し、燃え上がる祖国の革命運動に身を投じていく。しかし、この一年数ヶ月の東京滞在経験が、その後の日中友好・親善に果たした役割ははかり知れないほど大きい。大正7年、若き宰相が隣国・日本で考えたこと、そして帝都・東京で見たものとは、いったい何だったのか。神田、早稲田、浅草、日本橋…大正デモクラシーとモダニズムの花咲く、大震災前夜の帝都・東京の案内コラム付き。
目次
プロローグ いざ、日本へ
1 帝都見物
2 国を憂う
3 受験失敗
4 勉学か革命か
5 再び受験失敗
6 一時帰国
7 煩悶…黙して語らず
エピローグ さらば、日本
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奥山雅之
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周恩来の若き時代の本音が余すところなく記してある。挫折したり、揺れ動いたり、母国を心配し葛藤したり。若者にもぜひ読んでほしい。2015/11/30
うさぴん
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周恩来が19歳という若さで持っていた真面目さ、情の厚さ、潔癖さ、祖国に対する使命感などが窺われる。中国で出版された日記の翻訳だが、おそらく日本側で独自に追加された資料や説明(当時の政治的・社会的背景から電車の時刻表・流行歌まで…)がとても詳細で、その編集の綿密さにもびっくりした。神保町近辺に馴染みのある人なら、現在と当時の街の様子を比べながら読んでみるのも面白い。2015/01/17
りんか
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あの周恩来が現代日本の凡百の浪人生と同じような事をしていて面白い。下宿の家賃が足りなくて女中と喧嘩して日本人は卑小だと書いてみたり、官費留学の為の受験に落ちて「明日から一日13時間勉強しよう」と無茶な計画を立てたり、留学しているのに自国の学生仲間とつるむばかりで日本語を覚えなかったり。後の世の大人物も若い時はこんな物なのかと微笑ましい。2013/04/15
タヌキバヤシ
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本当の日記。ドキドキする。おすすめ2008/08/12
留々家
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誰々と会ったみたいな記述がメインで読み物としてはあまり面白くない(読み物ではないので当たり前)。 周恩来が一時帰国するとき列車に乗り合わせた日本人の学生と少なからぬ時間、会話をしたことを、日本人学生は印象深く日記に記している(それが見つかるのもすごい)のだが、周は「何事もなかった」としていること。日記に書かれているよりも日本人との関わりはあったが、何らかの気持ちがあって日記には残さなかったのかもしれない。 周と友人たちの集合写真。みんなへの字口をしているのに、同時に笑った顔になっているのは不思議だ。2025/03/05