出版社内容情報
未知の領域・海中への興味が造り出した幻想的な景観図。
クラゲやイソギンチャクは、水中の状態でなければその形態を描くことはできない。陸にあげれば、ただのゼリーや肉ひだにすぎなくなるからだ。その幻想的な姿を景観図として表現したのは、英国のゴッスだった。彼は、1851年のロンドン万博で、海中生物の飼育装置=アクアリウムを展示したアマチュア博物学者だった。以後、水中の光景を描くための工夫が数多くなされてきたが、それは「水」をどのように表現するかがポイントだった。
内容説明
クラゲやイソギンチャクといった水中無脊椎動物は、水中の状態でなければ、その不思議な形態を表現できない。その幻想的な「水中の光景」の描写にはじめて成功したのがイギリスのゴッスであった。ゴッスは1851年のロンドン万博に、水中生物の飼育装置=アクアリウムを出品した人物である。ゴッス以後の水中画の歴史は「水」をいかに表現するかという工夫の歴史でもあった。
目次
想像力の逸脱と自然の逆襲―ヘッケル『自然の造形』1899‐1904
クラゲたちのフラダンス―ヘッケル『クラゲ類の体系』1879
暗黒に漂う浮遊体―ブリンクマン『ナポリ湾海洋研究所紀要』腔腸動物篇1970
漆黒に映える極彩色の精密機械―ブリンクマン『ナポリ湾海洋研究所紀要』軟体動物篇
幻想の腔腸動物と青い水圧―アンドレス『ナポリ湾海洋研究所紀要』イソギンチャク類篇1884
世界初、海中の眺め―ゴッス『アクアリウム』1854
海底山脈に咲く海のアネモネ―ゴッス『イギリスのイソギンチャクとサンゴ』1860
ゴッスを追って、19世紀イギリスの海中へ―キングズリ&サワビー『クラウコス』1859
モナコ君主が残した深海生物の図譜―『アルベール一世科学探査報告』1889‐1950
海のふしぎを説いたふしぎな絵入り百科―フレドール『海の世界』1866〔ほか〕