出版社内容情報
安楽死は「希望の光」か?
理想の死を求めてスイスに渡った日本人に密着した、圧巻のルポルタージュ。「安楽死は私に残された最後の希望の光です」――講談社ノンフィクション賞受賞作『安楽死を遂げるまで』、待望の続編!
内容説明
理想の死を求めてスイスに渡った日本人に密着した、圧巻のルポルタージュ。講談社ノンフィクション賞受賞作、待望の続編!
目次
第1章 我が運命の支配者
第2章 孤独と歩む
第3章 幸運を祈ります
第4章 焦りと混乱
第5章 最高の別れ
第6章 家族を取り戻した男
第7章 遺灰
著者等紹介
宮下洋一[ミヤシタヨウイチ]
1976年、長野県生まれ。ジャーナリスト。18歳でアメリカに渡り、ウエスト・バージニア州立大学外国語学部を卒業。その後、スペイン・バルセロナ大学大学院で国際論修士、同大学院コロンビア・ジャーナリズム・スクールで、ジャーナリズム修士。フランス語、スペイン語、英語、ポルトガル語、カタラン語を話す。フランスやスペインを拠点としながら世界各地を取材。主な著書に、小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞した『卵子探しています 世界の不妊・生殖医療現場を訪ねて』、講談社ノンフィクション賞を受賞した『安楽死を遂げるまで』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
130
安楽死を望む人々の記録であり、理想の死を求めて スイスに渡った日本人の記録である。 内容は重く 心に痛い。 難病に苦しみ、安楽死を望む人々に寄り添う… 超高齢者社会を迎え、最期のあり方を模索する人々…その心根が痛々しい…そんな本だった。2021/11/11
修一朗
128
NHKスペシャルで感銘を受けてこの本に至りました。先が見通せない容態が死ぬまで続くという多系統萎縮症を患ったミナさんが安楽死を志向するに至るまでと外国人安楽死を受け入れるスイスで執行するまでの経緯が詳細です。筆者は残される家族の納得なくしては安楽死は不可であるという立場に立ちます。尊厳死に関する論議は盛んであっても安楽死に関してはまだ事例がなく,そういうこともできるのだというオプションが示されたという点と安楽死の論議レベルが分かって大変有意義でした。でも認知症は不可で激しい痛みがあることが前提なんだなぁ…2019/09/26
えちぜんや よーた
112
最後にペントバルビタール(安楽死に至る薬)のストッパーを自分の意志で開いた描写はありありと手に取るようだった。だが興味本位で手に取ったこの本についてどう言う感想を述べれば良いのか分からない。健康な人でもそうでない人も生きることと死ぬことについて家族や心許せる友人と徹底的に話をする必要性は感じる。自分が上手く感想を述べられないのは人生観・死生観はそれぞれで他人の考えを否定することはできないからだ。いずれ日本の法律でも安楽死を否定できなくなるのではないか。いつもまでも法で人間の考えを縛ることはできないだろう。2019/08/26
夜長月🌙@読書会10周年
86
安楽死に「賛成」とか「反対」とか簡単には言えないと思い直しました。まずは基礎知識である尊厳死、消極的安楽死、緩和ケアの違いなどを学んで議論を深める必要があります。一つの死に向かい合うにも患者本人と医師と家族ではそれぞれ立場が違います。実は日本でも消極的安楽死は認められています。またセデーション、緩和ケアという苦しまずに最後を迎える方法もあります。スイスで行われているのは安楽死ではなく自殺幇助であることも初めて知りました。2021/08/29
fwhd8325
83
前作「安楽死を遂げるまで」の続編という位置づけです。もちろん前作を読んでおくことがわかりやすいのですが、今回は、日本人が安楽死を遂げるまでを描いていることもあって、ドラマ性を強く感じます。フィクションであったらということも頭をよぎります。何より強く感じるのが「尊厳」ということです。様々な逡巡はあるものの、著者も書いているように、欧米と日本では、同じように考えることができない複雑な面があると思います。安楽死を選択することが、先例になってはいけない。そのことを強く心にとどめなければいけないのだと思います。2019/07/05