私は外務省の傭われスパイだった

原 博文【著】/茅沢 勤【訳】

小学館（2008/05発売）

• サイズ B6判／ページ数 287p／高さ 20cm
• 商品コード 9784093897105
• NDC分類 391.6
• Cコード C0095

内容説明

著者は中国残留孤児２世。２７歳だった９１年に母とともに「帰国」したものの、ホームレス生活を経験するなど祖国の辛酸をなめた。そんなとき、外務省国際情報局のエリート分析官と出会う。彼は「中国政府の内部文書がほしい」と持ちかけ、「あなたこそ日本の誇りだ」などおだててスパイに仕立て上げた。スパイとなった著者は、９６年に中国国家安全省に逮捕されるが、外務省は助けようとしなかった―。

目次

第１部　逮捕された日本人スパイ（拘束；スパイ摘発のプロ・中国国家安全省；拘置所での生活；妻と外務省の裏切り；自殺未遂；判決と暴行）
第２部　ホームレスから社長、そしてスパイに転じた波乱の半生（残留孤児二世として帰国；新聞を発行；若手エリート外交官；「日本人」としての誇り；中国の国家機密）
第３部　中国「獄中生活」の知られざる実態（拘置所の仲間たち；北京市第二監獄；刑務所仲間は二十数ヵ国四十二人の外国籍囚人；日本大使館の非道な態度；妻への思い；外国籍囚人の権利獲得闘争；監獄での探偵経験―“犯人”は模範囚だった；良郷監獄での半年間）
第４部　「棄民」と「裏切り」の日本外交（国会答弁とその余波；特別対談　佐藤優が見た「原博文事件」）

著者等紹介

原博文［ハラヒロフミ］
１９６５年１０月、中国黒龍江省佳木斯市に生まれる。母親が残留孤児であることが分かり、１９９１年９月、父母らとともに日本に帰国し、長野県に居住。１９９４年、東京で日中経済新聞社を創設。１９９６年６月北京空港で中国国家安全省に身柄を拘束され、国家機密探知罪などで、懲役８年の実刑判決を受ける。２００３年１月、釈放され、日本帰国。現在は東京に在住し、不動産業を営む

茅沢勤［カヤサワイズル］
１９５７年、東京都に生まれる。日中関係の商社に勤務後、全国紙の新聞記者として中国や台湾、香港などで取材活動に従事。中国北京語言学院、ジョージタウン大学、ハーバード大学に留学（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[サトシ@朝練ファイト]

こんな外務省のやり方(情報提供者の保護、他国に収監されている自国民の保護)では日本の国益に反する。巻末の佐藤優氏との対談も非常に興味深い。

2017/12/10

[コリンちゃん]

スパイ映画などでよく描かれるように、冷徹なインテリジェンスの世界では、守るべき大事なものは組織であって、情報提供者などは駒に過ぎず、いざとなれば切り捨てられる、というのは常識なのではないか。筆者はそれを分かっていなかったとすれば、自分を恥じるべきなのかもしれない…こわい世界だけど。

2015/07/04

[co1024]

外務省のスパイとして働き、映画化できそうなぐらい波瀾万丈な人生を歩んできて、すぐに読了。日本もスパイとかやってるんだな〜と関心する一方で、愛国者を上手く利用して、著者が逮捕されてからの対応には呆れるばかりか残念に思う。裏切った、というわけではなく方針がなかったのではないかと疑うほどだ。

2016/05/05

[ともあきほ]

残留孤児２世で日本の外務省のために働いて中国につかまって８年刑務所ぐらしだった人。でも文句と自分はまちがってない、○○してあげたのに・・というばかり。

2011/06/07

[さくら🌸]

日本が外交ベタだということがよく解った。ニュースを見ていて歯がゆく思っていた部分がかなり解明できた。

2009/01/05