出版社内容情報
小さな物語のような37篇の旅エッセー集
「旅にでるとき、私はいつも、ちっぽけな子供に戻ってしまう気がする」
《私とその友人は、十三歳のときに女子校で出会った。どちらも本が好きで外国に憧れていて、ドラマティックなことが好きでおいしいものが好きで、すぐに意気投合した。トーマス・クックの時刻表は、私たちの宝物だった。ひろげて部屋の壁に貼り、「壁のその部分だけ外国みたいだ」と思っていた。》
《考えてみれば贅沢で無謀な旅だった。帰る日も決めず(お金の続く限りいようと思っていた)、泊る場所も決めず(いきあたりばったりの旅こそ、私たちの憧れだった)、言葉もできず、でもともかく可能な限りいろいろな乗り物に乗り、可能な限り遠まわりをして、アフリカ大陸に行こうとしていた。……アフリカ行きは、私と彼女のはじめての旅だった。二十一歳だった。》――「トーマス・クックとドモドッソラ」より
このエッセー集は、2016年から2019年にかけてJR九州の車内誌「Please プリーズ」に36回連載されたエッセーに、同じ〈旅〉をテーマにして書かれた長めのエッセー「トーマス・クックとドモドッソラ」、さらに詩を三篇(夜の新幹線はさびしい/軽く/ウィンダ)収録したもの。エッセーの名手による小さな宝物のような一冊。
内容説明
旅をした場所と空気、食べ物、そして出会った人々や動物たち―このエッセー集は、ちいさな物語のようだ。時も場所も超えて、懐かしい思い出に、はるかな世界に連れ出してくれる。エッセー37篇のほか巻頭に詩を三篇収録。
目次
プロローグ 詩三篇
心が強くなる歌
大分の緑とバードマン
地理の勉強のこと
パリの地下鉄と真理ちゃんの声
バターパンのこと
かわいそうなつばめ
日帰り旅行の距離と時間
最初に行く店のこと
思い出の富士山〔ほか〕
著者等紹介
江國香織[エクニカオリ]
1964年東京都生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞を受賞。詩・童話・絵本・翻訳など多彩なジャンルでも活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
まーくん
takaichiro
よむよむ
優希