出版社内容情報
迫る大地震に立ち向かう日本の最先端科学
「3・11」は大地震の時代の幕開けだったのかもしれない。「東海地震」「東南海地震」「南海地震」「南関東地震」と、これから30年ほどの間に日本で発生が予期される大地震が厳然と控えているからだ。
しかし、東日本大震災のような大災害は繰り返されるのか? 日本はいつも震災に甘んじなければならないのか? 答えはノーだ。観測技術はITの発達とともに急発展し、防災の研究は、阪神大震災や東日本大震災を奇禍ともしつつ、着実に進歩している。それはほとんど海底を震源とする大地震の研究と、海洋科学のたまものだ。
きたるべき大地震とはどういうものなのか? 私たちはそれにどうそなえたらいいのか? 地域はどうあるべきなのか? 東大の最先端頭脳の研究成果を取材し、豊富な写真、イラストを駆使し、わかりやすく解説。震災に備えられる日本の力を解き明かす。
内容説明
日本は近未来の震災になす術がないのか?答えはノーだ!豊富な写真、イラストを駆使し、震災に備えられる日本の力を解き明かす。
目次
第1章 次に来る巨大地震への備え(巻頭座談 実学としての地震学/科学と歴史の視座から見据えるこれからの学問体系;南関東における巨大地震発生予測確率「30年で70%」の正しい読み方;“研究者は語る”東海以西でだけ検出される地震現象「低周波微動」の示す意味;海溝型超巨大地震が内陸地震の発生を支配;安政江戸地震を精査してわかった首都・東京のウィーク・ポイント;『方丈記』の短い記述が示唆する“若狭津波”の可能性;“研究者は語る”巨大地震の多くは海溝型。喫緊の課題は海域における地震観測ネットワークの強化)
第2章 進化する防災の近未来像(自然環境と人間の関係を捉え直し、復興や防災に活かす;“研究者は語る”分断された原発被災地のコミュニティを存続させる「二地域居住」の可能性;津波から命を救った防災教育;壊れた堤防・防波堤の調査と再建への考え方;防波堤が壊れたことで湾内の環境はどう変化したか;海中ロボットは行方不明者の捜索や湾内の調査にどう活躍したか;“事業担当者は語る”復興に向けての日本財団の取り組み)
第3章 被災の現場から見る多様な復興の姿(地域コミュニティの絆を残す震災復興のグランドデザイン;全国の大学、研究機関が参画する「東北マリンサイエンス拠点形成事業」とは;水産の復興に近道なし。「獲る」漁業から「売る」漁業への転換を;“研究者は語る”宮城県の「水産業復興特区」構想で東北の漁業は変わるのか;豊かな漁業に欠かせない「藻場」の存在;交付金を真に活かして漁業を復興。漁師は地域の生態系の守り人となれ;全国に先駆けたトレーサビリティの導入で消費者との信頼関係を築け)
第4章 災害に備える行政、復興に強い行政(「想定外」だったのではない。想定が不十分だったことが問題;巨大津波からは「逃げる」―防災コンセプトの大転換;20年後の日本のモデルとなる仮設のまちづくり;復興のシンボルとなりうる地熱開発;今、求められる潰瘍の総合的管理)