出版社内容情報
18世紀は手紙の時代だった。現在では電話で瞬時に消えてしまう重要な会話が、貴重にもペンで残されたのである。天才モーツァルトと父レーオポルトとの数百通の書簡を読み解いたのが本書である。そこには、モーツァルトの夢や、挫折や、怒り、笑い、そして愛……があふれている。ここにはモーツァルトという類稀な人間の生き生きとした表情がありありと伝えられている。編集にあたっては、モーツァルトが幼少の頃より、ヨーロッパ各地を旅した地図、旅程表を入れ、また手紙に登場する数百人の人名については、可能な限り人物注をつけた。この遺された天才の記録が、今明らかに。モーツァルト全集の連載をまとめ、加筆訂正、モーツァルトの手紙を著した書籍の決定版である。
高橋 英郎[タカハシ ヒデオ]
著・文・その他
内容説明
モーツァルトの手紙を読み解く、高橋英郎の大作完成。旅と手紙の関係を解き明かす図版・地図を多数集録、詳しい人物註付き。
目次
類い稀な人間の誕生
ウィーンでの陰謀―初めてのイタリア旅行
イタリアでの開眼と、せわしない日々
イタリア旅行の成果と歴史の裏
転機を求めて―大成功の「偽りの女庭師」
ザルツブルクでの忍耐と出発
アウクスブルクの勲章―ベーズレと意気投合
マンハイム―就職の失敗と情熱の恋
パリの孤独―母親の死・恋の対位法
「イドメネオ」初演―大司教との決裂
ウィーンでの独立―「後宮」から結婚まで
予約演奏会の創造性―オペラの歴史を変えた「フィガロの結婚」
プラハの熱狂―「ドン・ジョヴァンニ」
ウィーンでの生活
「コシ・ファン・トゥッテ」の新しさ
「魔笛」に花開くモーツァルトの遊び心
著者等紹介
高橋英郎[タカハシヒデオ]
1931年東京生まれ。東大仏文科卒業。75年、プーランク=アポリネールの「ティレジァスの乳房」訳詞上演でジロー・オペラ賞を受賞。明治学院大学在学研究で一年間渡欧、三度にわたる渡米を含め世界の歌劇場で二〇〇本近いオペラを観劇。83年よりモーツァルト劇場を創設。毎年一作、日本語オペラを斬新な演出で上演。「ペレアス」では、ドビュッシーがこの日本語に作曲したようだ、と評される。リムスキー=コルサコフの「モーツァルトとサリエリ」、ガッツァニーガの「ドン・ジョヴァンニ」、サリエリの「ファルスタッフ」をはじめ、モーツァルト五大オペラ、「バスティアンとバスティエンヌ」、「劇場支配人」、「救われたベトゥーリア」(世界初演)などを上演。2006年度エクソンモービル音楽賞を受賞。創作オペラ「不思議の国のアリス」では三菱信託芸術文化財団音楽賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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