内容説明
作家久世光彦とポメラニアンたちの、のどかでにぎやかな日常。ある日作家は、犬を主人公にした写真小説の構想を抱く。それは「飼い主が突然亡くなった犬たちの冒険譚」だった……。急逝した作家と、愛犬たちの日々。そして未完に終わった「犬たちの写真小説」。
目次
第1章 晩夏物語―構想、そしてロケ(晩夏物語(仮)
ロケ撮影指示書
『夕すげ物語』プロット自筆メモ)
第2章 犬がいなければ、ホームドラマにならない(犬がいなければ、ホームドラマにならない;対談 久世光彦×檀ふみ「犬は子ども、猫は恋人」;本の食べ方;愛人たち ほか)
第3章 夕すげ物語
著者等紹介
久世光彦[クゼテルヒコ]
昭和10年、東京生まれ。東京大学文学部美術史学科卒。TBSに入社し、「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「ムー一族」などの人気ドラマを演出。同54年独立し、テレビ制作会社カノックスを設立。小説家としての著作は『蝶とヒットラー』(ドゥマゴ文学賞受賞)、『一九三八年冬―乱歩』(山本周五郎賞受賞)、『聖なる春』(芸術選奨文部大臣賞受賞)、『蕭々館日録』(泉鏡花賞受賞)など多数。平成18年3月2日、急逝
なかやまあきこ[ナカヤマアキコ]
写真家。編集者。金魚、猫、祭、花、和菓子など主に和情緒・江戸趣味をテーマに撮影している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にゃんこ
20
【図書館】 たくさんの可愛いわんちゃんの写真と共に、久世さんが構想されていた「写真小説」の内容や檀ふみさんとの対談など読み応えたっぷりな一冊。 檀ふみさんとの対談では、「犬は子ども、猫は恋人」っていう檀さんの発言にちょっと笑ってしまった(^-^) 一番驚いたのは、「本の食べ方」の章。 〈芥川賞〉方面は避け、〈直木賞〉系列の本を食べるという久世さん宅のわんちゃん「ムー」ちゃん。 雑誌やコミックには目もくれず、ハードカバー専門…とくれば、かなりの「読書家」、スゴイのひとことです。2014/11/13
九鳥
16
未完の絶筆を読むのは苦手。唐突な幕切れに呆然とし、別れを思い出してしまうから。でも久世さんの「夕すげ物語」はあまりに短くて、物語に入り込む暇さえなかった。埋まらない紙面は、久世さんの愛犬に関する文章たちと写真に補われる。サマーカットにされたポメラニアンたちは、「夕すげ物語」がまさか実話になったとは今でも思っていないに違いない。2009/08/27
喪中の雨巫女。
11
《私-図書館》久世さんの絶筆作品。愛犬のポメラニアンの話だったんですね。ポメラニアンまるで、ぬいぐるみのように愛らしかった。2020/03/04
x.o.x.o.
4
【図書館】 犬に埋もれて死ぬだろう。という衝撃的な言葉に共感した。同じ様な事が何度も書かれているが、絶筆し未完成だったのね。ポメラニアン可愛い♪2011/07/10
くま
4
散漫としてると思ったら、絶筆+αの作品だったんだ。途中、犬と人間の寿命について書かれている部分があって、その時はさらりとなんだけどなんかぐっとくる。芸術作品(特に文章)はすごいね、亡くなっても鮮やかに残る2009/10/01