出版社内容情報
昭和30年ふたつの家族が辿る哀しみの日々
戦争の傷跡を残す和歌山市。ある夏の日、紀ノ川の筏師を束ねて隆盛を極めるも、戦後零落した男のひとり息子・広之と、大阪から夜逃げしてきた一家の男の子・勝治が出会った。川や城跡での遊び、淡い初恋、勝治の母の水死事故、大阪に住む広之の生みの親を訪ねる1日。きらきらひかる、しかし哀しさを含んだ数々の出来事は、それぞれの家族に見守られながらも、心によるべなさを抱く少年たちを結びつけ、広之の父が語る「人間の魂は、吉野の山に咲き誇る桜の花びらに抱かれている」という言葉の意味を教えた。生きることは切なくて、魂はひりひりと泣く――。それでも人は生きていく。人の世の哀歓を見事にとらえ、読む者の心をしっとりと包みこむ、書き下ろし小説。
内容説明
ふたつの家族、三人の母と、三人の子。生きることは哀しく、魂はひりひりと泣いていた。魂が涙する家族小説の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ガブリエル
4
昭和30年、戦争の傷跡がまだ残る和歌山の夏。広之と勝治の生涯忘れられないものとなる夏休み。紀の川の支流藻屑川での川遊び、淡い恋心、貧困、子棄て、夜逃げという家族の事情・・・、それら全ての出来事が、よるべなき少年たちを結びつけ、かけがえのない友情を育む。 生きていくことはこんなにも辛くて、切なくて、魂はヒリヒリと痛む。 感動というには遠いが、随所で咲き乱れる吉野の桜や、紀の川を埋め尽くす花筏を映像として目の奥に再現してくれる、しみじみと心に染み入る物語でした。 2018/06/10
19720624
0
戦争直後とか高度経済成長期の話は良くあるが、この本はその間の昭和30年代、ようやく復興に少しづつ動き始めた頃。知っている地名も多く、当時の雰囲気や匂い、人の考え方なんかが分かってすごく面白かった。2014/08/26
zousan
0
☆☆☆2013/10/16
ひろちゃん
0
B+2009/09/04
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- 洋書
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