夜半の綺羅星

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093875585
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

男の生きざまを江戸情緒豊かに描く感動物語

 老舗の紙問屋の跡取りとして生まれた達造。しかし、祖父、父が相次いで病死。婿に入った継父とは不和。弟妹が生まれ、居場所を失う。子守奉公のおたえとの交流だけが、心の支え。だが、やはり家に居づらく出奔。庶民からは「犬」と疎まれる目明しの下っ引きになるが、持って生まれた真摯さはなくしていない。事件が起こる。仲間の下っ引きが殺されたのだ。犯人を追ううち、実家が火付け盗賊に遭い、一家は惨殺、家は焼失の憂き目に。女中のおたえだけが生き残る。非運にもめげず、闇に潜む悪を追う達造だが…。 裏長屋の住民たちの人情や、下層に生きる仲間たちとの交流を通して、大きく成長していく一人の男の半生を描く、感動の時代小説。前作『しずり雪』の続編とも言える物語。 他、短編「福良雀」を収録。

内容説明

老舗の紙問屋の跡取りとして生まれながら、継父との不和から家出。目明しの下っ引きとなった達造。実家とは、子守奉公のおたえとの交流だけが細いつながりだ。仲間の下っ引きが殺されたことから事件は拡大。闇に潜む悪を追う達造だが、魔の手は、達造の実家にも及ぶ…。江戸の底辺で生きる市井の人々の哀歓や情緒を、情感あふれる文体で描いた、清新で心あたたまる人情時代小説。

著者等紹介

安住洋子[アズミヨウコ]
1958年兵庫県尼崎市に生まれる。3歳で父親の転勤に伴い大阪府牧方市に転居。大阪信愛女学院高等学校から同短期大学に進み、卒業後、学習塾で国語科教材作成に携わる。1999年第3回長塚節文学賞短編小説部門大賞受賞。2004年3月短編集「しずり雪」(小学館刊)でデビュー。サンフランシスコ在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

67
家路を辿るおりよ。渡り始めた弥勒橋の上、待ち伏せるように、おりよを凝視する五十絡みの痩せた男。崩れた髷、風に揺すられているような尖った肩。右腕を失った長半纏の片袖は、奇妙な形で揺れている。おりよの父は親分と呼ばれる十手持ち。不穏さ感じさせるプロローグは、読了後再見すれば全く別の顔。事件の果てに父母を無くした生まれたての赤ん坊。身寄り無き独りぼっちの男と女。『俺も育てる。二人で育てよう。俺はもう、後悔したくないんだ。片意地も張りたくない。おたえと一緒にいたいんだよ。三人で暮らそう、な、おたえ』→続く2012/06/28

天の川

15
空に瞬く無数の名もなき星たちのように、市井に生きる無数の名もなき人たちの人生もまた一つ一つ煌いている。達造が富田屋を出るきっかけともなった継父と母、胡散臭げな先輩下っ引きの省五と仙太、尊敬できそうに思えない友蔵親分…去られてわかるそれぞれが抱えていた様々な思い。達造が友五郎親分になるまでの出来事は、不幸な出来事だったけれど、誠実な達造が家族を得、心の中のわだかまりに決着をつける出来事だった。序章の不穏さが、終章ではまったく違った様相を提示する。安住さんの小説は、どれも希望と暖かさを残してくれる。2012/09/09

ちょるる

14
安住さんの作品は、落ち着いて読めて、静かに感動する気がします。下っ引きの達造は、岡っ引きになって友五郎と改名した理由がよくわかりました。なんだか…大事な人を亡くすばかりで、後から有り難みや、後悔を感じてばかりの達造でした…おたえが生きていて本当に良かったと思いました。でも、だから達造は、人情味溢れている、穏やかな人なのでしょう。『しずり雪』も読みたいです。(私が住んでいる市の図書館にはなかった(¯―¯٥))。2015/03/23

ごへいもち

13
一気読み、面白かった。2023/09/08

あかつき号

13
みなも綺羅星、おのれも綺羅星。 人は前を向いてしか生きられない、そのありがたさ。2015/12/19

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