物語を生きる―今は昔、昔は今

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 14X20cm
  • 商品コード 9784093873727
  • NDC分類 913.3
  • Cコード C0095

出版社内容情報

現代人の病ともいうべき「関係性の喪失」を癒すものとして、物語に注目したい。物語は「つなぐ」はたらきをするからである。本書では、あくまで現代の目で日本の王朝物語を読み、自分の物語をつくる知恵を学ぶ。

 近代科学は「物語」の価値を著しく低下させた。しかし人間が生きていくには、それぞれの「物語」が必要である。「物語」は過去と結びつき、土地と結びつき、人間相互の結びつきを強め、各人の全体的な統合を保つ役割を果たしている。そして時には人間に「死」すら受け容れさせる力をもっている。 本書は、日本の王朝物語を現代の目で読むことによって、われわれが見失っている自分自身の「物語」をつくりあげていく知恵を学ぼうとするものである。『創造の世界』で連載したものに大幅加筆、修正したもので河合隼雄ファン待望の1冊といえる。

内容説明

古典に学ぶ生き方の知恵。現代人の病ともいうべき「関係性の喪失」を癒すものとして、物語に注目したい。物語は「つなぐ」はたらきをもっているから。本書では、あくまで現代の目で日本の王朝物語を読むことによって、自分自身の物語をつくりあげていく知恵を学びたい。

目次

第1章 なぜ物語か
第2章 消え去る美
第3章 殺人なき争い
第4章 音の不思議
第5章 継子の幸福
第6章 冗句・定句・畳句―『平中物語』の歌
第7章 物語におけるトポス
第8章 紫マンダラ試案
第9章 『浜松中納言物語』と『更級日記』の夢
第10章 物語を仕掛ける悪

著者等紹介

河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年、兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。1959年、カリフォルニア大学留学。1965年、スイスのユング研究所より、日本人初のユング派精神分析家の資格を取得。京都大学教授、国際日本文化研究センター教授、同所長を経て、現在、京都大学名誉教授・京都文教大学顧問
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ムーミン2号

6
古典に親しんでいなければちょっと理解が覚束ないかもしれない、そんな論考。一般向けではあるが、ちょっと学術寄り。こういう時の河合さんの文章はちょっと苦手だ。しかし、中では第8章の「紫マンダラ試論」は視点が斬新で(知らなかっただけかも?)興味深く読めた。『源氏物語』においては光源氏にスポットが当たりがちだが、どうにも彼の存在が薄いというのだ。それは何故か?が語れる。彼と関わる女性たちを中心にすると『源氏物語』はもっと分かりやすく読めそうに思える。そして紫式部という人がどんなに優れた作家であったかが実感される。2017/12/27

Gotoran

6
平安時代の王朝物語をいくつか読み解く中で、人の意識と意識されない心のはたらきをつなぐものとしての物語の役割について、鋭く、深い洞察が加えられている。非常に示唆に富んでいて、現代に生きる我々が自分の物語を作り上げていく上での有益な知見が得られる。随所に、深層心理学的な解説・解釈がなされており、非常に興味深く読むことが出来た。流石、河合先生だ。著者あとがきで、D.キーン氏の言葉として、日本の古典は面白いのに学校で教えるときは文法に力点がかかりすぎ文学としての興味を無視する教え方で、古典嫌いになる人が増え残念↓2011/10/24

湯飲み猫

4
自分の人生を一つの物語ととらえるその時、千年の風雪を耐えて残った古典の数々は、生きるヒントを教えてくれる。なぜなら物語を書いた人々は、自分の生に何かしらの疑問を持ち、それを物語として表現しているのだから……。230ページくらいから述べられている「ものの流れ」という概念は、生きることをより豊かにしてくれると思う。たくさんの「人生」をみてきた河合さんだから言い切れる概念なのだろう。この人の物語論をもっと知りたくなった。2012/03/31

小倉あずき

2
河合隼雄の物語論。日本の「物語のいできはじめの祖」とも呼ばれる『竹取物語』から『我が身にたどる姫君』までを取り上げ、韓国の「恨」の物語や欧米の「原罪」との比較にまで展開する。 夢が重要なポイントとなる物語を取り上げ、臨床心理での夢へのアプローチとの親和性指摘する。 人間が生きるには物語が必要なのだなぁ、とつくづく実感する2016/12/17

take

2
「第2章/消え去る美」…かぐや姫が誰のものにもならず立ち去っていくということを重んじる「美意識」が論じられていた。熱愛発覚などの「醜聞」も無く卒業していった元AKBの前田敦子さんは、見事にかぐや姫的な美しさを演じていたのかと思う。他の章でも「継母」を「母の否定的側面」と見る読み方や、源氏物語の登場人物を紫式部の内面の断片が顕現したものと捉えて、作者の人格的発展を捉える読み方等、大変興味深い内容が多かった。2016/07/06

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