出版社内容情報
生きることの真実が凝縮した珠玉のエッセイ
『本の窓』に連載し、亡くなる直前まで書きつづけた故森敦さんの好評エッセイ「天に送る手紙」、待望の単行本化。日常こころに去来する思いを、天に在る亡き夫人へ書き送るつもりで綴ったもので、一編一編に生きることの真実が凝縮していて示唆に富む。また簡潔だが含蓄ある文章は詩のように美しく、豊穣な森文学の魅力の根底を知るにも欠かせない一冊。本文は大活字でゆったり組んである。
内容説明
著者最後のエッセイ集。
目次
あの雪あの雲
十五の志
人生の真実
孔子の風貌
先見の明
皹あかぎれ
親の年齢
台風と番傘
真実を恐れざる目
名士
中流の砥柱
春山夜月
妙秀
悠久幾千年の興亡
怒鳴台
天上の声
天才線
祝福〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
6
学生のころに「月山・鳥海山」で読んで以来、御無沙汰でしたが、なぜか骨董市で目が合い(?)連れて帰りました。いろいろな体験、シーンを読む中で、やはりワッピーが一番気に入ったのは、美しい山里の描写で、なかでも「春山夜月」の美しさ には息をのみました。時あたかも春、山里にも花が白くほころびて、見事な月の明かりを頼りに田の表に映り、歩みを進めるごとに月もまた進んでいくありさまは、今も見ることができるのでしょうか?春の宵、月の明るい晩に注連寺のあたりを散策したいと強く願いました。縁がありますように・・・2016/08/21
もろろろ
1
森敦さんの文章は静謐で、そして一語一語に深淵な「何か」を感じずにはいられないんですね。この文章群も例外ではないです。林京子さんがこのエッセイを曼荼羅に例えたそうですが、文章たちが回り回って「何か」を立ち上げていく、背後の何かを感じさせていく様はもう、エッセイはエッセイかもしれませんが、彼の書く小説と変わらないですね。芭蕉の紀行文を意識したのかもしれない。こういう文を読んでいると、体によくしみ込み、なんとも気持ちいいというか、神聖な気持ちになると言うか、静かな興奮を抱かずにはいられないですね。2010/12/12
motoroid
0
再読。森敦のエッセイ集。心落ち着かせるために読み返す。達観した人にしか語れない話、いつ読み返しても飽きない。2011/03/13