出版社内容情報
悲運の遣欧使節の足跡を追うルポルタージュ
’1863年エジプト。スフィンクスの前に佇むサムライたち。彼らは幕府の命により、横浜鎖港交渉の為、パリに赴く途上であった。海外情勢と国内事情のハザマに陥み、歴史から消し去られた第二次遣欧使節の苦悩に満ちた道中、また輝やかしい異文化との出合いが、使節中最年少16才の三宅復一のしなやかな感性に映し出される。
内容説明
「エジプト写真」とわれわれが俗に呼んでいる「スフィンクスとサムライ」の写真は120余年も前に写されたものなのに、珍しく写された年月日、時間をはじめとして、被写体の人物の名前、経歴、その後などが、かなりくわしくわかっている。新資料発掘!幕末外交秘録。
目次
「スフィンクス写真」の謎
元治元年2月28日カイロの朝
「洋銀の相場が下かがると、売る方は大損をするのだ。わかるか?」
アメリカ領事館に勤めた3人の若きサムライ
上海「アスター・ハウス」のチョンキナ
独立国とは何か?
トルコ風呂と「民族独立」
巴黎斯サイトー・ケンの登場
「これが、製鉄というものだ」
パンタルーンに穿きかえたサムライ
祭のあとに
122年後、あとがきにかえて
感想・レビュー
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AkiTakahashi32
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1864年春、『池田使節団』がフランス・パリに外交のために赴いた記録。 身分も年齢も立場も違う、34人の日本人が、世界をどのように見ていたのか。 また世界が当時の日本をどのように見ていたのか。 自分たちの置かれている立場に驚き、危機感を覚えながらも、それに対応していく方法を、必死に掴みとろうとしていた彼らの姿に、引き込まれるように、夢中で読み進めた。 また幕末の日本・世界情勢を知る事ができる、大変面白い本だった。 しかし、『スフィンクスとサムライ』の写真。 奇妙な取り合わせで、相当なインパクト。2021/08/12