出版社内容情報
結末に涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語
ノイズに溢れたこの世界で、
「大人になる」とは一体どういうことなのだろうか。
「子どもの土地」で永遠の子どもだった「その子」は、心に曇りが生まれ、ある日飛べなくなってしまった。だから、地上に堕とされた……自らの代わりとなる子を一人、連れ去るために。
夏休みの始め、青森のボーイスカウトで、スナメリが座礁した熊本の海岸で、埼玉から繋ぐオンラインゲーム内で、悩める子どもたち3人に奇妙な出会いが訪れる。いなくなる子は、誰なのか。自由と不自由のあいだでもがく少年少女、それぞれの決意とは。
誰もが経験し、忘れてしまう、「あの頃」の怒りと光にいま向き合う。
意外なその結末にきっと涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語。
最後の2行に込められた意味を
理解できる「大人」でありたいと思いました。
……青山美智子氏
人が生きる底の底から、子どもという存在を見詰めれば
こんなにも不思議で美しく、残酷な物語が生まれる。
……あさのあつこ氏
【編集担当からのおすすめ情報】
本作に顔を覗かせるのは、イギリスの名作「ピーター・パン」。
1人を「子どもの土地」へ連れ去るためにやってきた「その子」、
それぞれの出会いによって変化や成長をすることになる5人の子、
計6人の少年少女のひと夏を、
2022年に小説現代長編新人賞を受賞しデビューした新進気鋭の作家が描きます。
自分の中に閉じ込めてきた怒りや絶望、いつのまにか忘れていた煌めきや希望。
それらを怖いほど鮮やかに蘇らせてくれる1冊です。
「その子」は一体誰なのか?考えながらお楽しみください。
【目次】