出版社内容情報
「くちびるに歌を」以来7年ぶりの長編小説
11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。20年の歳月が流れていた。そこに恋人と名乗る西園小春が姿を現す。子ども時代と大人時代の一日が交換されたのだ、と彼女は話した。
一方、20年後の蓮司は11歳の自分の体に送り込まれていた。ある目的を達成するために、彼は急いでいた。残された時間は半日に満たないものだった--。
ミリ単位でひかれた、切なさの設計図。著者だからこそできた、完全犯罪のような青春ミステリーの誕生。
中田 永一[ナカタ エイイチ]
著・文・その他
内容説明
11歳の僕は、目が覚めたら大人になっていた。二度読み必至の完全犯罪のような“切なすぎる”青春ミステリー。タイムリミットは、7時間。
著者等紹介
中田永一[ナカタエイイチ]
1978年福岡県生まれ。2008年、『百瀬、こっちを向いて』でデビュー。2011年刊行の『くちびるに歌を』で「第六十一回小学館児童出版文化賞」受賞のほか、2012年本屋大賞第四位入賞、映画化もされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
483
中田 永一、乙一等は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、近未来タイムスリップラブミステリでした。サラリと読めますが、もう一捻りして欲しいなあ!1年前に東日本大震災を告知しても、効果はかなり限定的でしょうね。「下野」という苗字を「かばた」と読むと思いませんでした。2018/12/23
ウッディ
371
11歳の下野蓮司の意識は20年後の大人になった自分の中に飛んでいた。そして未来の自分には大切な人を救うため、少年の体に戻ってやるべき事があった。よく練られたタイムリープストーリーだった。未来を経験し、未来の自分が書き残したノートの内容から、未来の出来事は観測済みの事柄になる。それは決められた人生でもあり、安心できる人生でもある。中田さんにしては、恋愛要素は少なめでしたが、切なさは感じました。自分も少し先の幸せな未来を想像しながら生きてみようかな。面白かったです。2019/03/07
うっちー
339
時空越えの変化球でした2018/11/18
三代目 びあだいまおう
338
読み心地はライトなのに凄い小説でした。何が凄いって、想像できない複雑な展開を、完璧な程のプロットに落とし込みパズルのように組み合わせたはずなのに、ここまで読者にリアリティーと読みやすさを与えてること!頭部に衝撃を受けた主人公は20年前の自分の意識に入り込む。入れ替わるように20年前の自分は未来の自分の意識に入り込む。互いに元に戻るまでの7時間。過去の凄惨な事件を止めるべく、積み重ねた記憶と記録で立ち向かう!細かな辻褄が、まるで時空を越えて歯車が噛み合うように見えてくる!『信じ切る』という愛が眩しい‼️🙇2020/06/07
bunmei
321
著者の作品は『くちびるに歌を』に続いて2冊目。本作は、その爽やかな青春賛歌的な印象とは少し違い、時空を飛び越えて子供と大人が入れ替わるタイムリープ・ファンタジーと20年前に起きた殺人事件のミステリーが絡んだストーリー。こうした作品は、まだ見ぬ出来事が事前にわかってしまったり、今居る世界を実際は経験していなかったり、ゴチャゴチャします。しかし、わずか一日の中で、各々の時代の主人公・蓮司が体験した伏線が、綿密に練られており、説明も丁寧で、後半には一つずつ回収されます。それらが見事に繋がって一気読みでした。 2018/12/21