かちがらす―幕末を読みきった男

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  • サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093864930
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

維新の礎を作った佐賀藩主・鍋島直正の生涯

若くして佐賀藩主となった鍋島直正。財政難に苦しむ藩は城の火事に遭うが、それをきっかけに藩の改革に取り組む。長崎警備を任されていた佐賀藩は、外国船の進入が増え、中国がアヘン戦争でイギリスに敗れたことに危機感を覚えた。
軍事力で負けないように、直正は最新の大砲や銃、西洋流の船の建造を藩で行うための人材を登用した。耐火煉瓦を作っての反射炉の建設、鉄の鋳造、大砲の製造と、いくつもの難関を乗り越え成し遂げられた。三重津には、藩独自の海軍学校を設けた。
また、息子の淳一郎にいち早く種痘を受けさせ、普及をうながした。
藩主を16歳の直大に譲って隠居した直正は、〈日本を外国列強の属国にしない〉〈幕府側と討幕派との内乱を回避する〉という思いを、諸大名や公家に伝えていった。最新の軍事力を誇る佐賀藩は、幕府側・倒幕派ともに頼りにされる存在だった。
欧米諸国が日本に開国を迫り、攘夷を叫ぶ諸藩が戦火を交える中、体調を崩しながらも、直正は徳川慶喜との会見に臨む。
江川坦庵、田中久重、島津斉彬、井伊直弼、勝海舟、江藤新平……。幕末の名だたる人物と交流し、明治維新の礎を作った鍋島直正を描いた長編小説。

植松 三十里[ウエマツ ミドリ]
著・文・その他

内容説明

佐賀藩主・鍋島直正は、日本を欧米列強の従属国にさせないために、反射炉の建設、鉄の鋳造、大砲の製造、蒸気船の建造といった事業に藩をあげていどんだ。いくつもの難関をのりこえて手に入れた最新の軍事力は、幕府側と倒幕派双方から恐れられ、求められた。開国を迫る欧米諸国と攘夷を叫ぶ諸藩が戦火を交える中、新しい時代のために、直正は徳川慶喜との会見に臨む。

著者等紹介

植松三十里[ウエマツミドリ]
静岡市出身。東京女子大学史学科卒。出版社勤務、在米生活などを経て、2003年に歴史文学賞、09年に『群青日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』(文庫化で『命の版木』に改題)で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

166
『先憂後楽』が座右の銘と云う佐賀藩主・鍋島直正の生涯。名前しか知らなかった人物だが実は時代のキーパーソンでもあったのだなぁ。幕末、佐賀の日和見と後ろ指を指され後世に汚名を着ようとも、中立を保つを選んだ佐賀藩主の気概に天晴れを!家族にも家中の者たちにも恵まれた人物だったのだ。忠臣・松根とのラストにはぐっとくるものがあった。大局を見据えて今の政府にこそ、このような人物がいて欲しいと思うのは無い物ねだりか。2018/06/29

初美マリン

122
一見激しさは、ない、佐賀の鍋島藩主ただひとつ日本を守ることに命懸けをかけ、目的のためには汚名をきることなどなんでもない。凄いなあ。2020/01/11

とし

85
佐幕派、尊王、公武合体どれにも組せず、肥前の妖怪と言われ幕末の表舞台では大きな活躍はなかった鍋島閑叟、佐賀藩の借金を減らし、西洋の軍事技術の導入をはかり、精錬方を設置し、反射炉やアームストロング砲など最新式の西洋式大砲や鉄砲の自藩製造、蒸気船を建造、天然痘を根絶と凄い事をやってのけた幕末の隠れた英雄ですね。2020/01/20

のぶ

77
幕末を描いたとても面白い時代小説だった。主人公は佐賀藩の大名、鍋島直正。幕末には多くの有名な人物が登場するが、直正については初めて知った。全体を通して一言で言えばとても良い大名だ。佐賀は長崎と近く、外国からの情報も多く入ってくる。阿片戦争で中国が負けた事や、近いうちに開国を迫って来るであろう事を事前に察知し、鉄製の大型砲の鋳造を指示したり、藩のために多くの事に勤めたことが良く分かる。やがて訪れる大政奉還にも聡明な思いで政を行っている。あまり注目されない地方の名君に灯を当ててくれた本書は良書だと思う。2018/07/29

なゆ

76
「黒鉄の志士たち」も読み応え抜群だったが、こちらもまた!幕末の佐賀藩主、鍋島直正。こうして読むと、改めて佐賀は凄かったのだ。長崎警備も担っている為、西洋諸国の動向にも敏感で、藩独自に技術や軍備に力を注いだ。佐賀を、そして日本を外国から守るため、なんと言われようと軍艦や大砲を持っていても中立の立場を守り通した。「日本のためなら、私も藩も泥をかぶる所存です」大政奉還に向けて命がけで慶喜に向かい合う場面は、胸が熱くなる。けれど、いまわのきわの絞り出すような「さき、に、いく」の一言も胸に深々と刺さって、参った。2019/10/27

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