出版社内容情報
奇怪な妊婦殺害事件が続発…。嬰児から薬品を作るのが狙いらしい。秘密を嗅ぎ出した蘭方医石庵は事件のウラに行方不明の師匠尚玄の技術の面影を見、戦慄を覚えた。師・家族、友のために闘う歴史バイオレンス。
人間の身体の一部は、食し方により薬効あらたかという。ミイラとりがミイラになってまでも欲しがる薬種というわけだ。江戸の街で妊婦殺しが続発したのが事件の始まりであった。子堕ろしを頼まれた蘭方医・石庵が、考えなおすように諭した娘がその夜殺された。遺体を検査したところ、胎内の嬰児の姿はなく、見事な手術の跡が残されていたのだ。その見事な手術跡に、行方不明中の師匠・尚玄の面影を見、慄然とするのだった。かどわかされたにちがいない…。事件の黒幕と尚玄の関わりを追求するにつれ、妨害、脅迫が襲ってくる。街中のお茶屋の内儀や瓦版屋などの力をあわせ、手術刃の研ぎ師・捨松の特殊技能を駆使し、幕府高官の権力争いを明らかにする、歴史活劇大ロマン。
内容説明
泰平の江戸下町に妊婦の下腹部を切り裂くという残虐な事件が続出した。妊婦の胞衣は大奥の女性にとって若さを維持するため奪い合いの状態だという。幕府内部の権力争いの匂いがする。事件の裏には、拐かされて行方不明の師・尚玄の技術が垣間見える。蘭方外科医・沢井石庵は江戸市民のため、師の復讐のために立ち上がった。
著者等紹介
勝目梓[カツメアズサ]
1932年東京都世田谷生まれ。鹿児島県伊集院高校中退。数かずの職業を遍歴したが、創作の夢を持ち続け、「文芸首都」の同人になり、芥川賞・直木賞の候補にあげられること数回。74年『寝台の方舟』で「小説現代」第二二回新人賞を受賞。以後、数々の作品を発表し、作品総数は三〇〇点に迫る。また、小説CLUB新人賞、小説推理新人賞、日本推理作家協会賞などの選考委員を務め、文芸の発展に大きく寄与している
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