出版社内容情報
「国産の自動車を作りたい」という夢を抱き、終戦間もない横浜に小さな自動車会社を興した多門大作。友情、裏切り、陰謀などの波乱に見舞われながらも、あくまで夢を追い続ける多門を描く挫折と再生のドラマ
昭和20年「国産の自動車を作る」ことを夢に、横浜に多門自動車を設立した多門大作。彼は米軍関係の車両の修理をしながら原動機付自転車やオリジナルのオート三輪を完成させ資金を稼ぐ。その後、念願の乗用車生産を実現した多門自動車は、ルマン24時間耐久レースへの挑戦、イタリア人デザイナーの設計によるスポーツ・クーペのヒット、独自技術の新エンジン開発や対米進出などを通じて国際的なメーカーに成長してゆく。順風満帆に見えた多門自動車だったが、会社が大きくなりバブルの時代を迎えるにつれて創業時の“モノ作り”の精神は遠のいてゆく。88年、自らが招いた役員たちによるクーデターにより、遂に多門は社を追われるが…。
内容説明
自動車作りに賭けた男の挫折と再生の物語。感涙の新・企業小説。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年、北海道生まれ。札幌の広告代理店、東京の自動車メーカー販売促進部などの勤務を経て79年に『鉄騎兵、跳んだ』で第55回オール読物新人賞受賞。89年に『エトロフ発緊急電』で第43回日本推理作家協会賞、第3回山本周五郎賞、第8回日本冒険小説協会大賞受賞。02年に『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
詩界 -うたか-
15
#読了◆ズッシリと重たい上下二段によって繰り広げられる自動車メーカーは大きくした多門という人の人生、歴史、自動車会社……軌跡。ノンフィクション小説を読んでいるような気分でした。2020/07/07
クロネコバス
11
自動車が好きな多聞大作が、戦後のバラックの整備工場から、自社製自動車を作り始め、ルマン参戦、デザイン革新、環境問題対策、アメリカ進出、バブル崩壊やリコール問題と苦悶しながらも夢を追いかけていく話。「国盗り物語」が好きな人は絶対好きだと思います。自動車会社の大河ドラマ!私自身、多聞自動車と同じ業種の会社に新卒で入社した事や、今アメリカで日本車に乗っている事などあり、多聞大作と一緒に一喜一憂しました。Tamon Motorの車、見かけないかな(^_^)a2015/12/23
カワセミ440
6
図書館で借りた物。この小説の存在は全く知らなかったけど、結構楽しめた。たぶん私より上の世代、団塊の人たちには結構受けたんじゃないかって思う。ワンマン社長の太腕繁盛期?モデルはあるときは本田宗一郎さんだったり、スバルだったり、マツダだったり・・住友銀行とマツダの確執?や多チャンネル販売店構想のと挫折のあたりは何となくオンタイムで知ってるだけに興味深い。車メーカーって銀行の発言力が強くなるとクルマはつまらなくなる、どっかで聞いたような気が。女性たちの扱いは連載後15年だとしても結構ひどいものがあるって感じた。2014/07/28
ふぅちゃん
5
長かった…だが読み応えはあった。特に創業の頃の話は、当時の働く男達の情熱がビシビシ伝わってきた。小ロットでの注文は高くつくとか、製造業のイロハの部分も非常に詳しく書かれていて、とても熱心に取材をしたのであろうことも窺えた。モノづくりに関わる人なら一読すべき一冊。2015/09/27
ドリさん
5
面白かったです。米国工場進出の時の再開が良かった。新社長も良かった。2014/08/04
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