出版社内容情報
16歳で旧ソ連軍により強制連行。炭坑での想像を絶する過酷な労働の中で生き抜き、奇跡の脱出に成功した傷だらけの男のノンフィクション。極真空手・大山倍達の親友にして『空手バカ一代』の〃クレージー・ジャック〃のモデルが綴る極限人生。
身長2m、体重100kg超。BMW、アディダスのCMタレント、映画俳優でもある著者は、極真空手の創始者・大山倍達の親友にして、『空手バカ一代』に登場する〃クレージー・ジャック〃のモデルである。 本書は、ソルボンヌ大学で学び、作家となった著者が、自らの激動の人生を綴った初のノンフィクションである。 16歳でソ連軍により強制連行。炭坑での想像を絶する強制労働の中で生き抜き、生死を賭けて脱出に成功した男の極限人生が、深い感動を与える作品として描かれている。 厳しい労働、乏しい食料など悲惨な生活条件に加え、鬼看守による拷問、落盤事故で生死の境をさまようなど、ここに描かれる収容所生活は悲惨を極めるが、一瞬たりとも飽きさせず、最後まで一気に読ませてくれる。ロシア人現場監督や捕虜仲間、そしてロシアやポーランドなどの貧しいが心ある人々に助けられ、西ドイツへ決死の脱出を果たすまでの日々が、時にユーモラスに時にエキサイティングに描かれている。 日本の読者に向けて新たに書き下ろされた序章では、アメリカ移民後、著者が、ニューヨークで極真空手と出会い、苛酷な運命で穴のあいた心を埋めるシーンも印象深い。
内容説明
「やつらに捕まったとき、ぼくは学校に行く途中だった」1944年1月、ジャック・サンダレスクは、故郷ルーマニア・ブラショフの街でソ連兵に拉致された。貨物列車に詰め込まれて3週間、連行された先は世界最大の炭坑、ウクライナ・ドンバス炭坑だった。このとき、彼は16歳、持ち物は3冊の教科書だけ。過酷な強制労働が始まった。極寒の風土、残忍な警備兵、そして飢餓。残酷な運命と闘う武器は、不屈の闘志と人並みはずれた膂力のみ。2年後、ジャックは自由を求めて脱走する。目的地は、ドイツのアメリカ軍占領地域。だが、彼の前には、3000キロを超える真冬の原野が待ちかまえていた…。強制収容所という極限状態のなかで、人間の強さと尊厳を勝ち取っていく少年の成長を描く、驚異のノンフィクション。
目次
連行
収容所への道
強制労働
新収容所
つかの間の休息
優秀労働者
結婚話
淡い恋
16番水平坑
情事〔ほか〕