内容説明
人間の欲を浮き彫りにする社会派ミステリー。「工場はおそろしい水銀の水を流している。魚は獲ってはいけない。獲った魚を喰えば死の病いにとりつかれる。そうだ、この海…この暗い海の底から、目に見えない何ものかが牙をむいて迫っている」。不知火海沿岸で発生した奇病“猫踊り”。魚や貝を食べると、猫はもちろん、人間までも狂死する恐ろしい病気だ。その実態を調べるために東京の保健所から調査に来た男が行方不明になる。警察医・木田民平は勢良警部補とともに、工場や投宿した旅館などを探るが、男はやがて鴉についばまれた死体で発見される。男はなぜ殺されなければならなかったのか。そこには、さまざまな“欲”が、複雑に絡み合っていた―。日本中を震撼させた水俣病を題材にし、直木賞候補にもなった衝撃作。
著者等紹介
水上勉[ミズカミツトム]
1919(大正8)年3月8日‐2004(平成16)年9月8日、享年85。福井県出身。1961年『雁の寺』で第45回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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