出版社内容情報
文芸雑誌「行動」時代を描いた「浮きつつ遠く」、二・二六事件前後の作家たちとの交流を扱った「そのとき私は」、戦時中の文人たちの姿を活写した「暗い夜の私」など、作家の生の姿が垣間見える計7篇の秀作短篇集。
内容説明
昭和10年代から戦後までの文壇の舞台裏を描く。―個々の作品が独立した短篇であることはいうまでもないが、連続性を意図して執筆したことも事実であった。いわゆる連作であるが、変則的な長篇といえるかもしれない。文芸雑誌「行動」の編集者だった時代を描いた「浮きつつ遠く」、二・二六事件前後の作家たちとの交流を扱った「その日私は」、戦時中の文人たちの姿を活写した「暗い夜の私」、戦後の雑誌界や日本文藝家協会について触れる「真暗な朝」など、年代ごとの文壇の様子や作家の生の姿が垣間見える秀作短篇集。他に「ほとりの私」「深い海の底で」「彼と」の計7篇を収録。
著者等紹介
野口冨士男[ノグチフジオ]
1911年(明治44年)7月4日‐1993年(平成5年)11月22日、享年82。東京都出身。本名・平井冨士男。1979年『かくてありけり』で第30回読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hasegawa noboru
15
書かれて半世紀以上が経つ、昭和四十四年刊行本の復刻出版。戦前・戦中・戦後と続く昭和の時代には、文壇というものがあって、文学を志す者たちが同人文芸誌を発行してはそのもとに離合集散を繰り返した。作者とその周辺の数多の作家たちとの接触交流が描かれる。船山馨、十返肇、武田鱗太郎など作者が親しくした人たちだが、今ほとんど忘れられた存在だろう。私も名ぐらい知っていても読んだことはむろんない。”往時茫々”。島崎藤村、志賀直哉、太宰治、川端康成など今も名ある作家の本質を垣間見るようなエピソードがちらっとあって印象的。2022/06/01
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