出版社内容情報
旧制高校時代、マルキシズムに傾倒していた小関健児と篠原辰也。社会人になったいま、ともに“転向”による虚無感を抱えながら生きていた――。著者自身の体験に基づいた“転向文学”の傑作で、第1回芥川賞候補作。
内容説明
左翼運動後の虚無感を描いた“転向文学”の名作。「僕なんぞ因循で自分ながら厭になる、英語の本屋に毎日勤めているんだけど、つまらない、つまらないと言いながらいつの間にか年とって死んでゆくのかと、時折考えて、くらーい気持になって了うんですよ」―小関の虚無的な気持、待てよ、それは俺のものでもある、同時に俺たちと同時代の青年の大半が現在陥っている暗さだ―旧制高校時代、マルキシズムに傾倒していた小関健児と篠原辰也。一方は現在、安月給の雑誌社勤め、もう一方は羽振りのいい金持ちの息子と境遇は大きく違うが、ともに“転向”による虚無感を抱えながら生きていた―。著者自身の体験に基づいた“転向文学”の傑作で、第1回芥川賞候補作。
著者等紹介
高見順[タカミジュン]
1907年(明治40年)2月18日‐1965年(昭和40年)8月17日、享年58。福井県出身。1935年に『故旧忘れ得べき』で第1回芥川賞候補となる。代表作に『如何なる星の下に』『昭和文学盛衰史』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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