内容説明
出征と敗走、捕虜生活を経験した兄と、終戦後に生まれた異母弟。歩んできた道も、価値観も異なる二人の男の半生を描いた大作の上巻。復員後、大学在学中から商売を始めていた兄・忠一郎は、卒業して商社のアメリカ駐在員となり、そこで出会った日系米国人との出会いから、新しいビジネス―サンドイッチ店のヒントをつかむ。片や新聞社に入った弟・良也は、妻がありながら、かつての恋人・茜への想いが断ちがたく、取材旅行の傍ら茜の痕跡を訪ね歩く―。著者の実体験を彷彿とさせる設定や、戦後の経済史をたどるような記述が物語にリアリティを与え、読者の心をつかんで離さない。
著者等紹介
辻井喬[ツジイタカシ]
1927年(昭和2年)3月30日‐2013年(平成25年)11月25日、享年86。東京都出身。本名・堤清二。実業家として活躍する一方で詩人・小説家としても旺盛な活動を行い、1994年『虹の岬』で第30回谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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