内容説明
「天上の花」は、詩人・三好達治を、幼いころから三好にかわいがられていた著者ならではの目線で切り取ったもの。三好は前妻(佐藤春夫の姪)と別れ、朔太郎の妹・慶子と付き合うようになるが、きらびやかな生活を好む慶子と、貧しくても平和な暮らしを望む三好の愛の生活は、やがて破滅的な最後を迎える―。第55回芥川賞候補作。「蕁麻の家」は母親が他の男のもとに走ったことが原因で、幼少期から祖父、叔母など家族みんなに疎まれ、頼みの父親からも避けられてしまう主人公の、まさに棘に囲まれているような生活を描いた秀作。第15回女流文学賞を受賞。
著者等紹介
萩原葉子[ハギワラヨウコ]
1920年(大正9年)9月4日‐2005年(平成17年)7月1日、享年84。東京都出身。1959年『父・萩原朔太郎』(第8回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kizmy
1
作者は詩人の萩原朔太郎の長女で「天上の花」は朔太郎の後輩であった詩人の三好達治の事を書いてる。三好と朔太郎の妹の慶子の恋愛については、昨年末に見た映画版とほぼほぼ一緒。こちらの原作では三好の純粋さがより伝わってきた。 「蕁麻の家」おばあちゃん強烈!自分の子に優劣をつけ、更に孫は可愛がるなく疎ましがり、自分達が食べてるおやつを隠して与えず、着るものすら満足に与えず悪態を浴びせて育てる。酷い。しかしこういう鬼ババ、昭和の時代までは居たよ❣️友達のおばあちゃんこういう人だったらしい。2023/10/09
shokenmori
1
萩原朔太郎の娘が書いた小説。人間の醜悪な部分を壮絶に描いた内容に、驚くばかり。kindle2021/12/29
PIYOBLACK
1
ある作家や芸術家の作品が好きで、当人の出てくる小説やエッセイに手を出してしまうタイプです。一つ目は詩人三好達治の話、二つ目は詩人萩原朔太郎の娘である著者の自伝的小説。覚悟して読むべきだった。両方とも。三好って、自分の恋愛とか作品に残さない人なんですよ。朔太郎の家庭での立場も、知っているようで知らない。ましてや著者のことなんぞ存在しか知らなかった…だから貴重だし、小説の構成が素晴らしいおかげか、読みやすくてすぐに読み終わってしまった。蕁麻の家、続きはないのですか!?この後が気になるのに!2021/07/16
キノコン
0
「蕁麻の家」何ともつらい話だった。虐待に次ぐ虐待。葉子よく生き延びたよ…それにしたってこんな酷い仕打ちの連続とは。「天上の花」も暴力がつらい。しかし文章が上手くて読み進んでしまうのです。やはり元凶は朔太郎の母だ、あまりにも暴虐で目を覆いたくなる。2022/11/18