内容説明
「白く塗りたる墓」は、1960年代の高度成長期における公害汚染や原子力発電所の安全などの社会問題をベースに、報道機関の公器性や良心を問うた意欲作。TVカメラが持つ同時性から一躍報道の花形産業となったTV報道の視座をフィルターにして、目の前の現実と報道との溝に苦悩するテレビマンの狂気と孤独もドラマティックに描いている。もう一作は、ニヒリストの医者の堕落と病院に関わる人間の業を描いた「もう一つの絆」。共に第一部までの未完作であるが、著者の新境地ともいえる作品で、現代に連なる荒廃を予見している秀作である。
著者等紹介
高橋和巳[タカハシカズミ]
1931年(昭和6年)8月31日‐1971年(昭和46年)5月3日、享年39。大阪府出身。1962年『悲の器』で第1回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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