出版社内容情報
川端 康成[カワバタ ヤスナリ]
著・文・その他
内容説明
昭和29年「女学生の友」に連載した幻の少女小説、60年ぶりに復刊。
著者等紹介
川端康成[カワバタヤスナリ]
1899年(明治32年)6月14日‐1972年(昭和47年)4月16日、享年72。大阪府出身。1968年、ノーベル文学賞を日本人として初めて受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
emi
50
この少女小説を書いたのが、川端康成だなんて、驚きました。でも、一方でなるほどと納得する自分もいます。双子でもないのに、同じ日に生まれ見た目もそっくりな少女、かすみとめぐみ。偶然同じクラスで出会い、タイトル通り親友へとなっていくのですが、この思春期の少女の繊細な心情がなぜこんなに理解できるのと思っていたら、先生は純文学が低迷する時代、文芸批評の仕事をする中、数多くの少年少女の作品を読んだから。この時代の言葉遣いはとても丁寧で品があります。著者最後の少女小説、とても清らかで儚いような美しい文体の一冊でした。2016/04/27
水零
19
切長の目元が、流行りの彼に少し似たあの子や、校庭をひゅんと駆ける透明な羽をもつ君。そんな男の子達に夢中になる、ちょっぴり前の甘くて苦い少女達の物語。容姿も、誕生日もぴったり一緒な2人の少女。双子のような彼女らは、誰の目からわても特別で、彼女らもその特別を愛する。しかし、2人過ごすうちに見えてくる、一緒じゃないところ。家庭環境、寂しさ、わくわく。何処にも行かないで、私と貴女は親友なのよ。歳上のおねぇさんなんて見たらイヤ。私だけって指切りして?当たり前じゃない、貴女だけよ。少女の愛は無垢と傲慢で出来ている。2018/11/27
くろすけ
19
思春期の入口に立つ少女達特有の心の動きを、川端康成ならではの繊細な日本語で掬い上げきらきらとこぼしてみせたような作品。戦後の混乱した時代で大変な苦労をしていた大人たちの姿も透かして見せつつ、少女たちのあどけない嫉妬や年上の同性への憧れなど心の機微を瑞々しく描く。徳井玉太郎の挿絵が生き生きと可愛らしくて、作家も画家も「少女」という生き物の清らかさや美しさを心から愛していたことが伝わってくる。ところどころ「おかあさま」が「あかあさま」になってたけど、これも巻末の断り書きにあったように「原文のまま」なのかな?2016/05/07
桜もち 太郎
16
このボリューム、単行本サイズで550円、小学館の男気を感じるP+Dシリーズ。昭和25年に「女学生の友」に掲載された作品の復刻版だ。物語は中学生のかすみとめぐみの友情物語。誕生日が一緒で容姿がそっくりの二人は、まるで双子のようだ。思春期特有の不安定な心、素直になれないかすみの心さえもいじらしく感じる。脇役となるかすみのおじさん、息子の哲男、先輩の容子とその兄、環境が少女達を成長させ心に変化をもたらせ、離れ離れになる二人の友情を深めていく。なぜこの時期に川端は少女小説を書き続けたのだろう。興味のあるところだ。2024/02/17
もだんたいむす
9
典型的な少女小説でした。登場人物は裕福な暮らしをして、素敵な人間に囲まれている。ひと昔の少女たちは、この甘い小説を読んで胸をときめかしのでしょうね。★★★★☆2016/02/01