出版社内容情報
ホメイニ革命直後 緊迫のテヘランを描く
アメリカ在住のイラン人商人がふと洩らした言葉をヒントに、イラン革命の真相を追って、テヘランに乗り込んだ男の身に危機が迫った……。
パーレビ王朝の近代化路線・白い革命と、イスラム最高指導者ホメイニの黒い革命。そして背後で暗躍するCIAの影。
激動するイランで彼が見たものは何だったのか?
筆者自らの革命勃発期のイラン滞在経験が動機となって描かれた作品で、豊富な取材力に基づいた、予言性に満ちた迫真のドキュメント・ノベル。
松本 清張[マツモト セイチョウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kumisuke92
5
ホメイニのイラン革命は、石油の力を利用し欧米に対抗してきたパーレビに対するメジャー(その総帥であるロックフェラー)が見せしめとして始めた暴動がきっかけだったという。中東を蹂躙しようとしながらも想定外の民衆の力により挫折を味わうアメリカ。近代化を味わった知識階級の不満をバネに再度の革命を狙うが、、、。この本は81年に書かれた。ホメイニへの知識階級の不満は強く、イランはまだ波乱があるだろうという余韻の中で終わるのだが、イスラムの力を軽視していた時代の目だったのかもしれない。それも含め興味深い内容だった。2015/12/08
もだんたいむす
4
イラン革命はよく知らなかったが、この小説で現在のイランの状況はこの革命が基になっているんだろうなと感じた。この時代を経験していない私には少しばっかり分かりにくい部分があり、現在入手困難になっている理由もよく分かった。ただ、面白い内容であることは確かだったので、安価にこのような名作が入手できるのは大変喜ばしい。★★★★☆2015/10/04