出版社内容情報
筆者65年のばら学の渾身の集大成。イタリア語、英語、ドイツ語、ポーランド語で国際出版。1000種のばらのカラー名鑑に、精緻な「改良系統図」、世界のブリーダー、世界のバラ園を新規に加筆。バラ園芸に必携の書。
「ほら、見てご覧なさい。バラの香りがしてくるでしょう」初対面の時、今から20年も前になるが、スライドを見せながら筆者は話した。「バラは真っ赤で花弁が多いと思うでしょうが、これもバラですよ」と、真っ黄色の一重咲きを見せられた。日本人が国際コンクールで初めて入賞した『天の川』だと言う。 「どうしてこんな形や色、香りになるのかわからなかったが、やっとわかった」と言って、天井から吊るした系統図を示す。 バラの起源を求めて、化石が発見されたというアメリカ・コロラドまで飛び、先達に教えを乞いヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドにも足を運んだ。日本全国、世界各地から収集した原種は、膨大な数におよんだ。バラの記載を求めて、古今東西の文献、絵画、音楽を漁った。 バラの起源から東西交流史、文化史の記載にはじまり、詳細な系統解説、精緻な改良系統図、知遇を得たブリーダーの略歴、世界のバラ園一覧は、バラ研究の頂点を極めたと言って過言ではない。原種の写真はいうにおよばず、筆者自身の作品以外に日本人作出花、歴史に残る名花を最大限に網羅した本書は、日本と世界のバラ界の貴重な財産といえよう。