感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
芦屋和音
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徹底的にリアリズム。2012/12/17
土井 青
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給食のパンが大量に廃棄されることについての新聞の投書を目にした語り手は、投書の主が「あの子」ではないかと、戦時中に疎開していた幼時を振り返る、という構成。ひもじさも極まる敗戦後、語り手の疎開先では、進駐軍が気まぐれに撒くパンをめぐって騒動が起こる。パン拾いは非国民の行いゆえ厳禁とされるが空腹な子供たちは隠れて拾い続け、発見した大人達が彼らを吊るしあげる。白いパンは子供たちの心を大きく傷つけた…。もしかして地球のどこかで今も似た思いの子供たちがいるのかもしれない。読まれなくなるのは教育的に損な気がする作品。2021/09/03