出版社内容情報
「ぬけめない」日本人を相手に、米国はどのような攻め口で神奈川条約を勝ちとったのか。日本の鎖国を開いたペリー提督の日記。日米の外交の原点が見える一冊です。
「艦隊が浦賀沖に投錨する直前、靄が晴れ、富士山が見えた。円錐形の山で標高は八千から一万フィート、浦賀の西北西五十ないし六十マイルに位置する」(1853年7月8日の日記) 200年余に及ぶ鎖国の眠りから日本を揺さぶり起こした“黒船来航”。江戸湾に進航した艦上から、ペリーは冷静なまなざしで日本の第一印象を記録した。 開国を迫るペリー提督は「アメリカ国旗の尊厳に対して矛盾する日本側の行為も脅迫も無視する。力ずくで上陸するかどうかは展開次第だ」との強い決意をもって交渉を求める。 来航から8か月後、日米和親条約はアメリカ主導で締結に至る。この日米外交史の幕開けの舞台裏を、ペリー自身の航海日記が、いま解き明かす???
内容説明
鎖国を開くきっかけとなった黒船来航。その出航から2年間を綴ったペリーの日記に、現代の日米関係の原点を視る。
目次
第1章 日記(第一巻)出航から琉球、小笠原諸島へ
第2章 日記(第二巻)江戸湾進入
第3章 日記(第三巻)条件交渉と下田、箱館訪問
ペリー黒船来航史
解説―いまも生きる日米交渉模範試合
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スイ
16
ペリー、1P目からガチギレ。 予定から9ヶ月遅れてやっと艦隊ができたと思ったら、ポンコツでとても乗れないんですけど?! 大統領にも期待されてんのにどうしてくれんの?!?! 冒頭から予想外の人間臭さに爆笑し、全部読んだ(といっても今作は抄録ではあるのだけど)。 他にも交際費が経費で落ちない(議会承認してもらえない)ことに愚痴をこぼしていたり、今に通じる管理職の悲哀が散見されて笑ってしまったけれど気の毒。 しかし琉球、日本の人や文化の書き方はかなりキツい。 他文化社会をこういう目で見ていないかの反面教師に2023/05/07
fmjjd2501
1
ペリー提督日本遠征記とは違うものでペリーさんの私的日記。日本人は狡猾で二枚舌という評判だったらしい。米がそう思っていたということは世界的な常識だったということか。幕府側に一番効いたのは江戸湾深く入って空砲を撃たれたことだろう。江戸城が攻撃されると思ったに違いない。でないと200年も続いた法を曲げる訳がない。日本人が。すべて計算して行動したペリーが凄かったという事だろう。調印後の日米宴会の幕府役人の乱れ方も面白い。酒が入れば今も昔も一緒。ミニSLを見た人の驚きは宇宙船をみた感じくらい衝撃的だっただろう。2016/01/05
うな坊
1
ペリー提督のヒューマニズムと恫喝の混在がおもしろい。また、ペリー自身も、成果を出さなければいけない立場だったかもしれないことが読み取れる。外交上必要な個人的贈答品の自腹支出の件は、現代の諸国の多くの公務員も同様だろう。ペリー自身が日本人家庭をよく観察しているのも注目される。恫喝外交は「かならずしもそうではなかった」と解説者がいうのは疑問。ペリー書翰の端々にある。それに、当時と政治・外交状況が違う。解説は単なる個人の感想レベル。注釈は有り難い部分もあるが、根拠不十分の箇所もあり、評価が難しい。2012/06/02
nakaji47
1
太平の眠りを覚ます上喜撰…でお馴染みの黒船来航をアメリカ側の視点で見ることができる。初めから具体的な要求を掲げて頑固を演じきるペリーと、何とか言い逃れしようとした上、結局譲歩を重ねる日本の姿は正に普天間問題を巡る民主党を見ているようだ。2010/04/02