出版社内容情報
台湾に東洋一のダムを建設した日本人の物語
八田與一（はったよいち）は、日本統治時代の台湾で、約10年の歳月をかけて当時東洋一のダムを建設した土木技師です。台湾の灌漑施設の建設に数々の足跡を残しましたが、太平洋戦争中、乗っていた船が撃沈され、非業の死を遂げました。その妻・外代樹も、戦争終結後、ダムの水路に身を投げるという悲劇の最期を迎えています。
與一は台湾では教科書にも登場した、最も尊敬されている日本人のひとりで、現在でも毎年の慰霊祭には台湾の総統が出席するほどの人気です。
1930年に完成した烏山頭（うざんとう）ダムと給排水路は現在でも完全に機能しており、現地の人々が大切に管理し続けています。生誕125周年の今年はダムの近くにあった住居が復元され、記念公園として開園されます。実家のあった金沢でも毎年生誕祭が開かれています。
この本は、日本の土木技術の発展に大きな影響を与え、日本人と台湾人を区別することなく労働者を大切にした、偉大な技術者・八田與一の生涯とその業績を描き下ろした学習まんがです。
【編集担当からのおすすめ情報】
当時のダム建設のようすがよくわかる解説と、貴重な写真も収録。
許 光輝［キョミツテル］
監修
みやぞえ 郁雄［ミヤゾエ イクオ］
イラスト
平良 隆久［タイラ タカヒサ］
著・文・その他
目次
第１章 日本から来た土木技師
第２章 常識破りの建設計画
第３章 結婚とダム建設準備
第４章 東洋一の烏山頭ダム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
31
先日台湾の友人から「本当に日本に感謝している」とメッセージが来て、何かと思ったらコロナワクチンが台湾に全く届かない中、一番最初の便が日本からだった、というのでびっくり。きっと民間での長い友好関係が太いパイプを作ってきたんだろうなあ…と、関係者の方々への尊敬の気持ちがわきました。この本は建設会社勤務の友人宅からのおさがりで、「おお、さすが英才教育！」な～んて笑っていたのですが、まるでプロジェクトXのノリで、読み終わるころには熱くなってました。娘さんは「ダム系興味ない」とつれないお言葉。2021/06/30
古谷任三郎
3
東洋一のダム・烏山頭ダムをつくった日台友好の大恩人である八田與一の伝記漫画。金沢に生まれた八田はとてつもない人格者であり、彼がいなければ台湾の農業、経済も発展しなかったし、日台関係もここまで強靭ではなかったであろう。工事の中で、多くの犠牲者が出たが、八田を信じ、工事を続行したのは、感動のほかない。八田與一も妻の外代樹も悲惨な最期を遂げたが、日台友好と烏山頭ダムは永遠に生き続けるだろう。2024/01/25
TAGO
3
戦前の台湾で石川県出身の八田與一さんが烏山頭ダムと水路を造り、華南平原全体が潤い、台湾の一大農業地域を作った。 当時のダムの造成方法もマンガで分かり易く知ることが出来ます。 曽文渓からダムの水を引き込む隧道（トンネル）工事では箱根用水秘話を思い起こしながら読みました。 箱根用水路の工事は人力でしたが、こちらはドイツ式工法で機械を使って大掛かり。 しかし、どちらも作業中に尊い命を犠牲にしています。 私は「プロジェクトX挑戦者たち」に登場しそうな話がやはり胸に熱いものを感じられて好きだ。2020/01/08
YAMAKOU
2
初めて八田よいちさんを知りました。感動しました。2014/03/06
ぐみきち
2
日本ではあまり知られていない八田さんが小学館の学習まんがに･･･。この機会に小学校の社会で教えるべきです。精密な計算で作られた勾配や、水路・排水路合わせて一万六千キロに及んだという話を聞くと、重機の少なかった昔の事、本当に気の遠くなりそうな工事だったんだろうなぁと思います。 八田與一の思い出とダムを今でも大切にして下さっている台湾の方々に感謝し、初台湾旅行はこの烏山頭に行って来ます！2013/05/26
