出版社内容情報
忍者や剣士たちの世界は、どちらか一方が、あるいは両方が倒れるまで闘い続けなければならない。掟にしばられ逃れられない宿命に生きる者たちの姿と、戦乱の世の無情を描いた異色作品集。
▼第1話/蟷螂▼第2話/寄生木▼第3話/一乗寺薮下り▼第4話/飛礫▼第5話/奇剣崩し▼第6話/夢幻●登場人物/山影隼人(自分の剣の力だけを信じる非情な剣士)●あらすじ/同門の女弟子を殺し、秘太刀を伝授した師をも殺した非情な剣士、山影隼人。手段を選ばず、情け容赦なく道場主たちを斬り殺していく。やがて御前試合に参加した隼人は、以前助太刀してもらった香月兵庫と勝負し、一刀のもとに斬り捨てる。かわりに指南役におさまり、自分の剣の腕だけを信じる隼人の前に一匹の蟷螂が…(第1話)。▼神変不知火流の道場主真砂清玄が、地虫の森で何者かに殺された。道場を訪ねてきた武蔵は森の中でくせ者に出会う。しかし、賢明な武蔵はそのスキのなさに相打ちを見抜き、日を改めて闘うことを告げ引き返す。ある夜、残された真砂兄弟のところに果し状が投げ込まれた。興奮した兄は、弟の佐馬助や武蔵がとめるのを聞かずに出向く。その異端の剣士地虫五郎太の剣法は、地上低く身を伏せ、斬り下ろす太刀の威力を失わせて、同時に無防備な下半身を狙うというものだった(第5話)。●本巻の特徴/無敵の剣客の真の敵は、自己を過信する自分自身だった。心のおごりが身を滅ぼす第1話に加え、十