出版社内容情報
文化文政期のお江戸八百八町に、佐武の縄が飛び、市の居抜きが悪を切る! 歌舞伎、読み本、大相撲など当時の風俗を巧みに織り込みながら、情緒豊かに「情と業」の複雑な人間模様を描く!
▼第1話/叢雲(むらくも)▼第2話/名月や池をめぐりて夜もすがら▼第3話/一重▼第4話/紅葉狩(もみじがり)▼第5話/菊人形▼第6話/だだぶだぶ▼第7話/針▼第8話/北風のみち▼第9話/七福神▼第10話/紅い捕縄●登場人物/佐武(下っ引き。縄術の使い手)、松の市(居抜きの達人の按摩)、みどり(佐平次の娘。佐武に思いを寄せる)●あらすじ/まじめで知られる岡っ引き・黒門町の豊蔵は、二十六夜の月に憑かれたかのように、女の後をふらふらとついていった。誘うかのように木の下で立ち止まり、こちらをうかがう女。翌日、女が木で首を吊っているのが発見された。そして、その傍らには豊蔵の十手が落ちていた……(第1話)。▼正月の1日、ヤットウの先生が密室で毒殺され、毘沙門天の木像が持ち去られた。翌日には魚屋が同じ手口で殺され、夷の木像が消えていた。次の日は、米屋が殺され大黒の像が、その次の日には小料理屋が殺され弁財天の像がなくなっていた。佐武と市は、謎を解く鍵は七福神の木像にあると踏むのだが……(第9話)。●その他の登場キャラクター/佐平次(佐武の親分の岡っ引き)、田辺(上役の同心)