出版社内容情報
若き三蔵法師のファンタジック西遊記。
玄奘(げんじょう)はついに天竺にたどり着き仏教の奥義を究めていたが、なかなか帰国の許しが出ない。宗教と政治、人の心の問題に悩む玄奘。そんな中、仏教排斥の動きから逃れるため玄奘は再び旅に出る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はま
15
ほんと良い漫画だな~。玄奘もハザクとプラジュニャーカラも、実は正法蔵も、めっちゃカッコ良い~!一巻冒頭の頃の玄奘と二巻後半の玄奘の表情の差が物凄い。穏やかさが段違い。二巻冒頭のナーランダー(大学)の生徒たちのふざけた感も実は好き(笑)ほんと良い漫画だった!2012/05/31
りー
9
なんとも愛すべき、無敵の戦闘力(騎馬遊牧民以上!)を誇る体育会系の三蔵法師でした。釈迦の死後、約1000年。玄奘が唐にもたらした訳しきれないほどの経典、作中で登場人物プラジュニャカーラに委託される密教は、ともに海をわたり、日本へやってくる。玄奘がナーランダーを出る場面が、そのまま恵果と空海の場面にオーバーラップしました。「人の心を動かすのは、雄弁・詭弁・策略ではなく、『熱意』や『誠実さ』であり、それは誰もが持っていそうで実は誰もが持ち得ないもの」私たちの現在は、そうした心の連続の先に在る。2020/04/14
そらねこ
6
再読2016/06/15
帯長襷
5
豊かなのに人々の絆が薄れる時代、まさに今のことなんじゃないかと毎年読むたびに感じる。「時代の波に追われているのかもしれぬな…一人びとりが考えることを怠った時 人は時代にのみこまれる」「死を目前に見据えたとき、誰もその人間の意志には触れられんぞ…」「『熱意』や『誠実さ』というのは、古来からあり、いまでも通用する説得法の一つなんです。それは誰もが持っていそうで実は誰もが持ち得ないものです」「本当に幸福な世を願うなら 本当に必要なのは一人びとりの内的刷新だ」2020/01/02
旗本退屈苺
5
求める心があって、はじめて方法が見いだせる。という言葉に心打たれた。なんかもう色々胸にくるものあって、涙ぐみながら読んでしまった(特に後半)。ハシャル王と玄奘の宗教と政治の拮抗、役割のくだりは圧巻。どう落としどころをつけるのか、難しいと思っていたけど、見事な決着だった。ラストの玄奘とハザクの友情はもう、愛だよなあ。何よりも深い絆で結ばれた二人。だからこそ別々の道を歩んでおのが役割をはたして行く。憧れる。2011/08/24