- ホーム
- > 和書
- > コミック
- > 青年(一般)
- > 小学館 ビッグCスペシャル
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
101
秋の夜空の出来事を経て、雪が舞う季節となったルーヴル美術館。その屋根裏でゆきのこは日ごと気を落としていく。そこに転機が訪れて…。絵を鑑賞している時に、ふと考えたことはあるかもしれない。描かれた世界に魅入られて空想したことはあるかもしれない。たぶん、みんなそうだと思う。その中にはひょっとしたら。幻想的なシーンはとても詩的で叙情的な気持ちで満たされた。静かな世界は変化が止まっていたのだろうか。幾度も描かれる目の表情がずっと印象的だった。心の内が見えてくるような。四季が移り変わるルーヴルの一年の物語を堪能した。2020/07/28
jam
95
華やかな街並みやセーヌから眺めるパリは、歴史が共存する美しい都だった。しかし、私の記憶深くに残る街は、濡れた露地裏や早朝の地下鉄に乗る労働者たち、夜明け前のルーブルである。観光客のいないパレ・ロワイヤル駅に降り立ち、ナポレオン広場を進むと、ガラスのピラミッドとルーブル宮殿はオレンジの灯りの中に佇んでいた。そして、そこには庭を掃き、ゴミを拾う労働者がいた。宮殿のどこかに棲む猫たちは時の狭間に生き、境界を超える。老いた男の願いが叶う童話は夢のようだけれど、歴史に埋もれる何かが息づく宮殿は今宵も静かに更け行く。2018/05/08
吉田あや
76
「この世はさむくてくさいのさ」。長老猫の含蓄ある言葉が星空の中静かに放たれる。絵の声を聞き、その世界に住まう者は自らの時間を止めてしまう。花はずっと咲き、風はずっと吹く、終わりも別れもない穏やかで優しい世界で再会する大切な存在たち。キラキラ瞬く星のように神秘的で幸福な世界と、臭くて寒い冒険の世界。安寧の地と刺激と未知の外の世界のどちらに人生を委ねるのか、死生観と人生観がゆらゆらと不穏でありながらも心地よく揺れ、今がとても大切に思える大人のファンタジー。2020/02/10
アマニョッキ
64
ああ、もうこれ最高に好き。松本大洋と冬野さほが結婚するという、20年前のわたしが聞いたらド肝抜かれるような奇跡が起こったからこそ生まれた作品ですね。帯にある「奇跡のマリアージュ!!」はまさに二人のことでしょう!見開きカラーで描かれた「アモルの葬列」の上下巻での違いにもにんまり。とってもかわいいゆきのこ。魅力的なアリエッタ。要所のカットは奥様が描いてる気がするのは私だけでしょうか?松本大洋から奥様への愛も溢れている作品だと思います。文句なしに漫画コトイチ決定です。2017/11/15
♪みどりpiyopiyo♪
49
遠くから呼ぶ声、吹く風、降る光。ここでだったら きっとある。これはきっと ほんとうなの。私たちも こうして大人になったのかもね。(初出 2017年)2019/02/23