出版社内容情報
人と人との繋がりを透明に残酷に描き出す。
結婚式前々日に婚約者は自ら命を絶った。動機に心当たりはなく、家族にも友人にもその理由はわからない…表題作「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」。
書店員の女性のとある一日。思いがけない出来事があり、想像もしなかった言葉をかけられる、そんな普通の一日。…「書店員波山個間子」
13歳、中学生、夏休みの課題図書、国語の先生、お爺さん先生…「谷後先生」
結婚しようと決めた日のこと。ちゃんとふたり、幸せだった日の。表題作の前日譚…「海を見に行く」。
ほか、「自転車は晴れ」「甘党兄弟」「少女とカメラ」など、全12作を収録。
IKKI新人賞[イキマン]単行本描き下ろし部門を受賞した、新鋭・黒谷知也の初単行本。
【編集担当からのおすすめ情報】
不思議なことはなにも起こりません。日常の誰にでも起こりうるお話ばかりです。しかし、その当たり前の日常が奇跡かもしれない、そう思わせてくれます。淡々と描きだされる多様な人間ドラマを味わってください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンシア
21
Kindle Unlimited。短編それぞれがしんみりとしていて心地よい。2024/01/14
りらこ
19
黒谷知也さんの本が、かなりKindle Unlimitedに入っている。まるで絵がついた短い小説を何遍も読んだかのよう。それぞれのラストが、良い。余韻が楽しめる。2024/03/19
くり坊
12
表題作を含む12の短篇漫画が収録。「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」のタイトルが一番引きが強いので(実際のところタイトル買いのコミックである)、書名に採用は納得するものの、この表題作「幸福はアイスクリーム〜」があんまり面白くなかったのが残念。「平日に、オープンテラスで」と「書店員 波山個間子」が良かった。「書店員 波山個間子」すごくいい。波山さんみたいな書店員さんがいたら口説きにいっちゃうよ。2014/11/20
アーチャー
10
やっぱりね、自殺はダメなのよ。ましてや遺書もない、自殺の理由もわからないのは、家族や友人を路頭に迷わせるだけなのよ。って感じで表題作を読みました。なんとも冷めた魅力を持った短編集でした。2014/11/24
akihiko810/アカウント移行中
9
古本コミック。12編の短編集。6.5/10点。しっとりとした、静かな独白が多いサイレント系の短編マンガ。 個人的に大好きな「書店員波山個間子」のプロトタイプ?も収録されているが、どの短編もだいたいはモノローグで独白して日常の中や人生にときおり感じる「襞(ひだ)」を再認識していく、といった話である。情緒系、というかいわゆる文芸マンガであって悪くないと思う。ただ、悪くないのだが、吾妻ひでおの「(ギャグと違って)シリアスは馬鹿にでもできます」という言葉が頭に浮かぶ。情緒系シリアスの中では傑出してないというか…2020/02/21