出版社内容情報
松本大洋が到達した少年期作品の金字塔。
星の子学園――様々な事情を持つ子供たちが、親と離れて暮らす場所。陽光が燦々と降り注ぐ園の片隅に放置されたポンコツサニー。其処は彼らの遊び場であり、彼らの教室だった。『鉄コン筋クリート』『ピンポン』『GOGOモンスター』――未来、スポーツ、異界…あらゆる世界で、その体と心を躍動させる少年たちを描き続けてきた松本大洋が、自らの少年期に思いをはせつつ、その最高峰を目指す渾身の作品。
【編集担当からのおすすめ情報】
通常版に加えて、限定特装版として、特製ヨーヨー付きのプラス・アンコミックスも登場!!当時、コカコーラヨーヨーのウルテクを競い合った方々も、今回、初めて手にする方も、松本大洋監修による、その名も「TAIYO-YO」をゲットして、作品世界の手触りを確かめてほしい!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
s-kozy
69
個性的で圧倒的な画風で独自の世界観を築く松本大洋。広く知られた代表作は「ピンポン」「鉄コン筋クリート」だろうか。私は拳闘の浪漫が感じられる「ZERO」が好き。この漫画は児童養護施設「星の子学園」の子ども達と彼らを取り巻く大人を描いたもの。松本大洋の実体験に基づいているんだとか。「ソレ何持ってんねん春男?」「ニベアや。ええにおいやろ。」「ホンマやなぁ。お母さんに買うてもろたんか?」「うん。」(167頁)。沁みる、沁みるなぁ。これも代表作になりますね。2017/09/05
しいたけ
58
どこ視線で感想を書こうか悩む。施設のことか、噛み付きたくなる子どもらの可愛いほっぺたのことか、子どもらの大切な基地サニーのことか、自分ではどうにも出来ない哀しみに立たされる子どもらのことか。「親がおらん子のことなんか誰も本気で心配してくれやらへんやろ」。ちがうからね。君たちは社会の宝物なんだ。大切に大切に見守ってるよ。いっしょに四葉のクローバーをさがそうよ。2016/04/21
Die-Go
48
児童養護施設「星の子学園」に住まう子ども達の生活を描いたマンガ。一人一人鬱屈してものを抱えているにも関わらず、生きることに懸命な子ども達。親の庇護を受けられない中でも育つものが確かにある。★★★★☆2020/07/13
ベル@bell-zou
43
「誰か知らん人とか言うなや!!オレがめっけたる!!」「なぞなぞみたいやろ 会いたいのに 会いたない」子供は多感だなんていうけれど。鈍くなってわがままになった大人の言い訳。それでも親は親。彼らは見つけて欲しいのに。Sunnyでならいつでもどこでも帰れるのに。読んでいて心がギュッとなる私は、やっぱりもう大人なんだろうな。「おんなの涙は ほぼ無敵なんや」人前で泣くのは恥と思ってたからすぐ泣くコは嫌いだった私。幼児から小中高生まで各世代の子供たちを生き生きと描き分ける松本大洋の繊細な筆致。目線が特に良いな。2019/10/20
Die-Go
36
児童養護施設「星の子学園」に新しい横浜の言葉をしゃべる子が新入所で来た。子どもが住まっているだけにちょこちょこ事件は起きるのだが、それもかわいいもの。切ない気持ちを押さえつけて懸命にいきる生きる子ども達の姿がいとおしい。★★★★☆2022/04/05