出版社内容情報
写真屋奇譚、全十四編収録!!
公衆電話。紙芝居。銭湯……………
時代にためされ、時代に負けたもの達。
黒いハットに黒いマント。
古いカメラをかまえては、
時代の波にまにまに消えゆくものを
フィルムに収める写真屋カフカ。
その写真にはときどき、不思議なものが写る―――
【編集担当からのおすすめ情報】
『コーヒーもう一杯』『道草日和』の山川氏が描く個性無類の新作。失われていく物を撮り戻し、消えゆく物を撮り留める。時の流れに逆らうように、今日もカフカは写真を撮る。独特の画風が物凄い郷愁を誘う一冊。
その1 公衆電話 005
その2 素顔のままで 017
その3 瞬間伝説 029
その4 いつもの店で 043
その5 地下室の男 055
その6 あの日の子供たち 065
その7 風景との対話 079
その8 遠い旅人 091
その9 宴の頃 103
その10 本と本棚の部屋 117
その11 煙突のある町 129
その12 おかしな夜 141
その13 黒い友達 155
その14 線路を訪ねて 167
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- 評価
本好きkotaの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akihiko810/アカウント移行中
18
短編連作。消えそうなものやなくなりそうなものを撮る「写真屋」カフカの奇譚。 カフカが「なくなりそうなもの」の写真を撮ると、ほんの一瞬だけ「在りし日」の一瞬を写真が映し出す。著者山川らしい、ノスタルジーと温かさに溢れる作品。2021/12/07
積読書店員ふぃぶりお
9
「写真を撮る」。その行為は、単に色や形といった視覚情報を書き写すことに止まらず、記憶に宿る匂いや温度、芽生えた感情を、そして共に過ごした人と時間を、心のシャッターで焼き写し、場面を甦らせるためにもある。その空気感さえも。「なくなりそうな」公衆電話・本と本棚・紙芝居等を題材に本作品で撮られた「奇譚」14枚には、珈琲のようなホロ苦さと心温まる優しさが同居している。山川直人の独特の絵柄がまた哀愁を増幅させている。「失われゆく時を取り戻し、消えゆくものを撮り留める」ように切り取られた極上の『写真』達は輝きを放つ。2015/09/05
キキベル
8
消えて無くなりそうな物を撮る写真屋さん。 今は、スマホで簡単に撮れてしまう時代だから、なかなか感じないけど、1枚の写真から受け取れる思い、いいです。 写真を撮りたくなります。2015/09/07
うえ
7
この世から消え去り幻想になってしまいそうなものを撮る写真屋カフカ。その対象は、喫茶店、古書店、紙芝居屋などなど。もちろんヒトも対象に含まれるため、中には撮られることを極端に嫌う人も。駆け出し中の演劇少女、高齢の凄腕スリ師などなど。モノとしてはもう亡くなってしまった銭湯の、残された煙突なんかがある。短編ものだが、つながりはきちんとある。2017/08/26
春風のぼる
5
消えそうなものなくなりそうなものを撮るのが趣味。写真屋カフカ。2016/04/29