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出版社内容情報
一攫千金めあてに北米にやってきた白人の男が見たもの。それは住民がいなくなった極寒の地で、ただ一人狩りをして暮らす老人の姿だった…。表題作「凍土の旅人」他、全6編を収録した傑作集。
▼第1話/凍土の旅人▼第2話/白い荒野▼第3話/山へ▼第4話/貝寄風島▼第5話/松花樓▼第6話/海に還る●あらすじ/1897年。カナダ・アラスカ国境付近のクロンダイク地方。金鉱を求めてこの地にやってきたジャックとフレッドは、糧食とする鹿を追っているうちに吹雪に巻き込まれた。来た道を見失い、岩陰に身を潜めるしかなかった二人だが、幸運にも現地民の老人が通りかかり命を救われる。近くの小屋で鍋をふるまってくれた老人の名は「ジング・ハ」。白人のために獣が少なくなったこの地に、ただ一人とどまっているらしいのだが…(第1話)。●本巻の特徴/フランス、イタリア、スペイン、5つのコミック・フェスティバルすべてにおいて賞に輝いた谷口ジローの最新傑作集。「ビッグコミック1」などに掲載された全6編を収録!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
67
短編集。アラスカの金鉱探索、秋田のマタギなど自然や動物と人間の繋がりを描いた物語がジローさんらしい丁寧で真に迫った筆致で描かれており、どれも読み応え十分、良かった。アラスカを舞台にした「凍土の旅人」と「白い荒野」は、自然に対する畏怖と敬意を感じさせる。人は得てして欲望の罠にはまりやすいが、自然の厳しさを前に安易な欲望は消し去られる。「山へ」マタギの仇討ち。悲しみと希望の残し方が何とも言えない余韻を残す。「海へ還る」クジラの不思議な世界が印象深い。クジラの絵、特に終盤の描き方に見入った。2019/10/02
阿部義彦
12
新年一発目のブックオフで仕留めました。同著者他2冊も。主に2003年頃ビックコミックに載せたもの。山を舞台とした、狩猟ものやジャック・ロンドンの小説を再構成したもの等。この中では『貝寄風島』が良かった、親の離婚により、夏の間に預けられた、叔父夫婦の元での体験談。子供時代の淡い恋心の行き先は?ラストでしてやられます。又昭和45年を舞台とした『松華樓』は著者を思わせる漫画家志望の青年を主人公として昭和の古き良き時代を活写していて、心に残る。自分の原風景を見せられた。2024/01/09
南註亭
2
「海へ還る」を読みたいために、これまで何度も読み返しています。2012/04/17
南註亭
1
谷口ジローさんの原点ともいえる「動物作品」ほかを編んだ1冊です。たんに動物を登場させるということではなく、人間と動物と自然、この関わりについて示唆してくれます。「凍土の旅人」と「白い荒野」はジャック・ロンドンに題材をとった作品。「貝寄風島」は『父の暦』に通じる少年の物語。「松華樓」は作者のデビュー以前の時期を描いたと思われる異色作。生と死を描いた「山へ」。巻末の「海へ還る」は本書の白眉というる作品で死と再生の物語。 オススメ度 ☆☆☆☆☆ 5つです。2004/12/19
義輝仮面
0
【評価:★★★☆☆】 個人的に「白い荒野」が特に印象に残りました。2017/03/03